試算隠し――2009年09月06日

▼高速無料化の経済効果 国交省、一転試算認める
http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY200909050246.html
《高速道路を無料化した場合の経済効果について国土交通省が2年前に試算を行っていたことが明らかになった。一般道の渋滞が解消されることなどから、直接の経済効果を2.7兆円と見込んでいる。これまで政府は「試算は存在しない」として隠してきた。民主党の公約に有利な結果だったため、公表しなかった可能性がある。
 試算は07年度に国交省国土技術政策総合研究所が実施した。政府が08年度以降に検討していた高速料金値下げの影響を調べるためだった。だが、政府は国会答弁や質問主意書への答弁書などで高速道路無料化の経済効果に関する試算について「国交省が取りまとめたものは存在しない」などと存在を否定してきた。
 ……朝日新聞が入手した資料によると、「3割引き」「5割引き」「10割引き(無料)」の3パターンについて経済効果や渋滞予想区間を詳細に調べている。無料の試算は、首都高速阪神高速を除く高速道を無料化した場合のもので、民主党公約と一致する。
 経済効果は、(1)走行時間の短縮(2)燃費など走行経費の減少(3)交通事故の減少、の三つの効果を、国交省の基準に基づき金額に換算した。
 高速道自体の経済効果は、渋滞増加などで年間マイナス2.1兆円となるが、車が流れやすくなる一般道が4.8兆円のプラスとなり、差し引きで「2.7兆円の効果が生じる」とした。利用者の料金負担の軽減分などを加味した別の計算方法では、経済効果は7.8兆円に達した。
 高速道と並行する国道の通行量が減ることで二酸化炭素(CO2)排出がどれだけ減るかも試算したところ、割引前の1.8%減にあたる310万トンの削減となった。ただ、高速道の通行量が増えたり、鉄道やバス利用からマイカーに切り替えたりすることによるCO2の増加量は試算しておらず、差し引きのCO2の増減効果は不明だ。
 無料化した後の高速道の混雑度についても予測。通行量が道路の許容量をオーバーし、慢性的に激しい渋滞が起きやすい「混雑度1」を超える区間は高速道全体の21%にあたる1580キロとなった。広域で渋滞が起きると予測されているのは東京外環道、東名高速名神高速東名阪道など。東北や北陸、四国などは混雑度は低いものの、地方の中核都市周辺や2車線の道路は混雑が予想されている。》