政治資金をめぐる疑惑 Vol.1

▼土地取引巡る記載虚偽、小沢氏団体の深まる疑問
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091104-OYT1T00123.htm
民主党小沢一郎幹事長の資金管理団体陸山会」(東京都港区)が、実際には2004年に購入した都内の土地を、翌年に購入したように政治資金収支報告書に記載した問題で、小沢氏はこれまでの記者会見で「単純なミス」との認識を示し、2日現在で報告書の訂正は行われていない。
 しかし、土地取引を巡る資金移動と収支報告書の記載を照らし合わせると、説明のつかない点がいくつも浮かび上がってくる。

 ◆担保預金の原資は?◆
 今回の問題は、陸山会が04年10月、世田谷区深沢の476平方メートルの土地を約3億4000万円で不動産会社から購入したが、支払った代金を同年分の収支報告書に記載せず、05年分の収支報告書の事務所費に含めて支出計上したというもの。
 同会は土地代金について、4億円の定期預金を担保に、金融機関から小沢氏名義で借り入れた4億円を使ったと、読売新聞の取材に答えている。ところが、04年分の報告書の収入欄を見ると、総額は7億3000万円で、そのうち借入金が4億円。この借入金は定期預金を担保に借り入れたものだから、定期預金の原資にはなりえない。そうすると、残りは3億3000万円しかなく、そもそも4億円の定期預金を組むのは、収支報告書上は不可能だったことになる。
 一方、この定期預金は04年分の報告書の資産欄に、03年分にはなかった「定期預金 4億円」との記載が現れることから、04年中に組まれていた。定期預金の金はどこから持ってきたのか。この疑問に、同会は答えていない。

 ◆あえて借入金で購入?◆
 次に、なぜ土地を金融機関からの借入金で買ったのか。04年当時はいわゆる「ゼロ金利」時代。定期預金で銀行から受け取る利息よりも、借入金で銀行に支払う利子の額が上回ることは確実なため、金融機関から預金を担保に借金をして土地を買うのは、かえって高くつく方法だった。
 また、04年分の報告書の「定期預金 4億円」の記載の横には、「平成16年(04年)10月29日」の記述に訂正印が押され、日付部分が消されていた。同会は削除の理由を、「政治資金規正法では、預金は12月末時点の残高を記載し、預入日の記載は求められていない」と回答。預入日は10月29日であることが推測されるが、この日は土地代金の決済日と同じ日だった。4億円の現金で直接土地を買わずに定期預金を組み、それを担保に借金をして代金を払うという、複雑な方法がとられたことになる。

 ◆売買日ずらした理由?◆
 陸山会が購入した世田谷区の不動産の登記簿を見ると、所有権移転登記の「受付日」は「平成17年(05年)1月7日」、「原因」の欄にも、「平成17年1月7日売買」と記載されている。一方、不動産会社が同会に出した「売渡証書」には、「平成16年10月29日に売り渡しました」との記載があった。
 法務省民事局によると、所有権移転登記では通常、売買契約を締結した日か、代金支払いが完了した日が売買日となる。登記の手続きが売買より遅れた場合、「受付日」は手続きの日でいいが、「原因」の欄の売買日は、契約締結日か代金支払い終了日を記載するのが原則だという。
 同会は04年10月29日に代金を支払った際、不動産会社に「登記日は好きにさせてもらっていいか」と申し出ているが、なぜ、売買日までずらして登記する必要があったのか。同会はこの点の説明もしていない。》