人事院総裁――2009年02月03日

▼首相に歯向かう人事院総裁 どうしてそんなに「偉い」のか
http://www.j-cast.com/2009/02/03035320.html
公務員制度改革を巡り、人事院総裁麻生首相にさえ歯向かう前代未聞の事態になっている。第三者機関のトップとして、政府から罷免されない特権を利用したとみられている。人事院総裁とは、そんなに偉いものなのか。
「信じられない。総理が主宰する会にですね、役人が出てこないなんてことあるんですかね」
甘利明行革担当相は、2009年1月30日の記者会見で、苦虫を噛み潰したような表情でこう憤りをぶつけた。
出席しなかったのは、人事院谷公士総裁。この日は、麻生太郎首相を本部長とする国会公務員制度改革推進本部の会合が予定されていた。内閣官房に新設する「内閣人事・行政管理局」に人事院が持つ公務員人事の企画立案機能を移すことが盛り込まれた工程表を最終決定するためだ。
なぜ出席しなかったかについて、谷総裁は、正式メンバーでなく出席要請もなかったので、代わりに文書を出すつもりだったと釈明した。ところが、甘利行革担当相は、こう反発したのだ。
「出席要請もしないで、なんで前回も来たんですか。通りがかったら、会合やってるみたいだから入ってきたんですか。あり得ないことですよ」
これが出席拒否かどうかは別にして、人事院麻生首相と対立してまで機能移管に反対なのは確かだ。その理由について、人事院の企画法制課では、政府が公務員の給与を決めるというのなら、スト権などの労働基本権制約を見直さないとおかしいと説明する。また、政府が公務員の採用試験を行う場合は、政治家の口利きによる縁故採用の防止を考えなければならないとしている。
首相とも対立する谷総裁に対しては、自民党菅義偉選対副委員長が1月31日、辞任を求めた。だが、谷総裁は2月2日、辞任を否定し、機能移管への工程表が最終決定された3日も、「意見表明を続けたい」と反対する姿勢を示した。内閣がいったん任命すると罷免できない独立機関の立場を利用した面はあるが、人事院総裁とは、そんなに権力があるのだろうか。
谷公士総裁は、旧郵政省出身で、郵政次官を退官後に、総務省の外郭団体の理事長、衛星通信会社会長などを歴任。その後、人事院人事官になり、2006年4月12日付で総裁になっている。いわば、エリート官僚を地で行くような経歴なわけだ。
自民党を離党した渡辺喜美元行革担当相は、09年2月3日放送のフジテレビ系「とくダネ!」で、谷総裁が官僚機構を代弁しているとの見方を示した。
人事院というのは、オール霞ヶ関の防波堤になっているんですね。だから、谷総裁のバックには、オール霞ヶ関守旧派官僚たちがしっかり後押しをしている」
一方、経産省出身ながら「脱藩官僚の会」設立に参加した慶應義塾大の岸博幸教授は、谷総裁は官僚の親玉というより、人事院に操られているだけとみる。
「谷さんは、まじめな人で、信念に基づいて正論も言っています。それを回りが利用しているんでしょうね。人事院の官僚たちが、階級ごとにポストなどを割り当てる級別定数の決定権が内閣府に行ってしまうのを防ごうと総裁に言わせているわけです。人事院は、給与勧告などぐらいしか目立ちませんし、民間企業との接触が少なく、権限がなくなれば自分たちの天下りに使う材料がなくなってしまいますから」
人事院の企画法制課では、オール霞ヶ関の防波堤という指摘については、
「まったくの誤解です。われわれは、公務員を見張る役をしており、むしろ厄介視されているほどですから」と反論する。また、「自分たちの天下りを守りたいということはありません。天下りの仲介にも関与しておらず、天下りはうちとは別の問題です」
と話している。》

▼「たまごかけご飯」ブーム 各地に専門店が登場
http://www.j-cast.com/2009/02/01034228.html
岡山県美咲町では「たまごかけご飯」の専門店がオープン、1年間で7万食以上を売り上げた。観光客も増え、これで「町おこしを」と意気込んでいる。さらに、「たまごかけご飯」専門店は各地に出現、どこもにぎわっている。たまごかけご飯の魅力とは何か?
岡山県美咲町が、たまごかけご飯専門店「食堂かめっち。」をオープンしたのは08年1月22日のこと。ご飯、たまご、味噌汁、つけものをセットにした「黄福(こうふく)定食」が300円。当初の予想を大きく上回る、年間7万食以上を売り上げ、なかなかの評判だ。平日は100人〜200人が来店、休日ともなると300〜400人近くがつめかける。店舗内が18席しかないという理由もあるが、ピーク時は1時間以上待つこともある。
美咲町が「『たまごかけご飯』で町おこしを」と考えたのは、合併した直後で、観光地もなく、知名度が低かったことからだ。そこで、美咲町出身の偉人・岸田吟香氏が「たまごかけご飯」を愛好し、日本に広めた説があることや、町内には西日本最大級の養鶏場もあったことから「たまごかけご飯」に注目した。
「たまご目当てに誰が来るのか?」といった議論もあったというが、これが大当たり。全国からお客さんが来ているそうだ。美咲町役場・産業観光課の担当者は、「こんなに反響があるとは思わなかった。(お客さんがこれほど詰めかけた理由は)わかりません。たまたま不況に強かったのか。安価なのが受けたのか……」と驚きを隠せない。また、町内では、たまごかけご飯をメニューに加える料理店が相次いでいるそうだ。
また、「たまごかけご飯」専門店は全国各地で開店している。兵庫県豊岡市では07年3月に「たまごかけごはん 但熊(たんくま)」をオープン。350円の「たまごかけご飯定食」を提供している。オープン以来3年が経つが、計5万人以上がおとずれたという。「子供が好きと言ってくれるのが一番うれしい」と担当者。ほかには、京都市伏見区には「たまごかけごはん なかま」という専門店もある。
もっとも、たまごかけご飯は現在、「T.K.G.」という名称で一躍人気となっている。「T.K.G.」とは、たまごかけご飯の頭文字をとったもの。火付け役は、読売連合広告社が07年9月に発売した「365日たまごかけごはんの本」だ。
本の中で369のユニークなたまごかけご飯(=T.K.G.)のレシピが紹介され、「たまごかけご飯=T.K.G.」という認識が広がった。08年夏頃から、メディアに取り上げられたことや口コミで広まったこともあり、合計10万部が売れている。
「365日たまごかけごはんの本」の企画者で、読売連合広告社の森田明雄さんは、「たまごかけご飯」がうけている理由について、
「(たまごかけご飯は)なんにでも合いますし、子供でも失敗せずに作れるところが幅広い人気を集めているのではないでしょうか。また、『自分で作る』ということも新鮮なのでしょう。実際、(「365日たまごかけごはんの本」は)小学校の先生が買っていき、子たちに紹介するなんていうケースも多いみたいですよ」
と話している。》

浅間山噴火の決定的瞬間をとらえたのは「火山オタク」だった
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/04/news089.html
《2日未明に小規模の噴火をした浅間山だが、漆黒の夜空が真っ赤に染まる写真を見て、規模以上に噴火の恐ろしさを実感した人は多いのではないか。その決定的瞬間を30以上のメディアに提供した「まえちゃんねっと」は、「火山オタク」を自負する個人の会社だった。浅間山をウオッチして4年以上、投じた費用は1000万円以上──。火山への執念が今回の噴火写真で実を結んだ。
 マグマの中から噴石が飛ぶ迫力ある画像は、火口から北8キロの地点に設置されたカメラがとらえた。「通常、撮影は10分間隔だが、『火口周辺警報』が出たので1分おきに切り替えていた」と語るのは、「まえちゃんねっと」(千葉市)の前嶋美紀(よしのり)代表(46)。同社は前嶋さんの個人事業で、主にソフトウエア開発などを行っている。
 「小さいころから火山オタクだった」という前嶋さんは、通常のライブカメラや静止画像に物足りなさを感じていた。そこで、2000年の三宅島噴火を機に24時間自動で火口を撮影してネット上に数十分おきにアップする監視システムを開発。定点撮影した画像をつないでアニメーション化し、生きた火山の動きを再現することに成功した。その高い技術力は東大地震研究所にも注目され、同年8月から三宅島噴火の記録に技術提供している。
 浅間山は04年秋にも噴火し、降灰は周辺の農業にも被害が出るほどだった。この際、前嶋さんは「次の噴火に備えるため、もっとカメラを増やした方がいい」と地元の人や周辺のペンションの協力を得てカメラを設置。以来、10分間隔の定点撮影を続け、ウェブ上で公開している。
 「カメラはCCD(電荷結合素子)搭載の一眼レフ。撮影枚数が多いので3−4カ月で交換が必要になる。夜間だとオートフォーカスでは撮影できないので、マニュアルで動かせるソフトを開発した」(前嶋さん)。そのカメラをオフィスのある千葉市内のマンションから遠隔操作して撮影しているという。
 「お金は、かなりかかっている。これまでに1000万円は超えていると思う」と語る前嶋さん。
 火山観測という「趣味」を極めるために確立した監視・観測システムだが、「07年ごろから商売にも結びついてきた」といい、同システムは国立極地研究所のオーロラ観測や別荘の管理にも応用されている。
 火山観測を本格的に事業化することも可能に思えるが、前嶋さんは「インターネットは広く普及している。遠くのもの(映像)を独り占めにはせず、みんなに提供したい」と、今後も趣味としての自主観測と情報提供を続けていくつもりだという。》