漢検――2009年02月09日

漢検協会の委託先、実態なし 理事長の会社に7億円超
http://www.asahi.com/national/update/0209/OSK200902090108.html
《巨額の利益計上や不透明な取引が指摘されている財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)が、大久保昇理事長の経営する広告会社に業務を委託しながら、実際には協会職員に業務をさせていたことが、複数の関係者の話でわかった。同社に「経営実態はなかった」との証言もある。協会は最近3年間で計7億6千万円分の業務を同社に委託しており、文部科学省は正当な取引だったかどうか調査を進める。
 文科省の調べによると、大久保理事長が代表取締役を務め、息子の大久保浩副理事長ら親族が役員を占める広告会社「メディアボックス」(京都市)に対し、協会は漢字検定の広告出稿や広報活動などの業務を委託し、06年4月〜08年12月に計7億6千万円を支払った。しかし、協会関係者らによると、下請けする広告会社などとの交渉や契約業務は長年、協会職員が担当していた。協会側は支払いの際、下請け業者に請求書のあて先をメディアボックスにするよう要求。同社の経理事務も協会職員がしていたという。
 登記簿で所在地とされているビルに同社はなく、朝日新聞記者が同社に電話すると、協会につながった。協会関係者の一人は「協会が同社を介して下請けに業務を発注した体裁をとっていた。メディアボックスに実体はなかった」と取材に話した。
 また、協会と取引した経験がある広告業界関係者によると、協会から直接請け負った業務についても、メディアボックスなど理事長らの関連企業に支払いを請求するのが慣例となっていた。この関係者も「メディアボックスはペーパー会社と認識していた」と話している。
 協会関係者によると、大久保理事長が経営し、協会の教材出版業務などを委託されている出版会社「オーク」(京都市)や、副理事長が代表で漢字検定の採点業務などを請け負っている「日本統計事務センター」(同)についても、協会職員が一部業務を担っていたという。協会は06〜08年度、両社にそれぞれ27億2800万円と31億5千万円分の業務を委託している。  社団法人及び財団法人法は、法人理事が自己の利益を図って法人に不利益を与える「利益相反取引」を規制している。文科省は、理事長らが関係する企業への業務委託が同法に触れないかを調べる。
 協会の広報担当は朝日新聞の取材に「一連の指摘については、発足した調査委員会で調べている」としている。》

▼まだ食べられるのに廃棄 「賞味期限」が生む壮大なロス
http://www.j-cast.com/2009/02/09035650.html
《まだ食べられるのに売れ残ったり、業者が捨てたりしている食料品は、年間800万トンにものぼる。「賞味期限」や「販売期限」といった決まりや商習慣がロスに拍車をかけているのだ。食料自給率が39%と低く、多くを輸入に頼っている日本で、これだけロスが発生しているのは問題だ。
農林水産省によると、食品製造業、卸業、小売業をあわせ、2006年4月1日〜07年3月31日の1年間に廃棄された食料品は1135万トン。そのうち800万トンがまだ食べられるのに捨てられた「食品ロス」だ。
その多くは売れ残った商品だが、それだけではなく「賞味期限」や「商慣行」がロスに拍車をかけている。
「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(05年2月厚生労働省農林水産省)は、食品の賞味期限についてこう定めている。客観的な指標に基づき設定された期限に、食品の特性に応じて「1未満の係数」(安全係数)をかける。安全係数は製造業者によって異なる。
全日本菓子協会が行った会員企業へのアンケート結果によると、0.6〜0.7を採用していることが多い。つまり、まだまだ大丈夫なのに、期限が早く来てしまう仕組みになっているのだ。さらに、製造日から12か月を超える賞味期限はほとんど設定されていない。同協会の専務理事は、
「製品の質という面では1年もつが、(賞味期限を)半年にしています」
と明かす。
その理由の一つは、賞味期限が短い方が回転率が上がり、効率的だと流通側が考えていること。一方で、賞味期限が短くなるほどメーカーに返品される率が高くなる。返品された商品の多くがまだ食べられるが、賞味期限をつけ直すことはできないので廃棄される。製造者にとっては迷惑な話だが、流通の力が強く断れないのだ実情だ。こんな理由もある。
「賞味期限が長いと、流通や消費者から添加物が入っているんじゃないか、という妙な誤解を招いてしまうということもあって、短くしています」
賞味期限とは別に、流通業者は販売期限を設定している。製造日から賞味期限までの期間を、(1)製造業者から流通業者に納入されるまでの期間(2)流通業者による販売期間(3)消費者が購入して消費するまでの期間、という3つで3等分にするのが習わしだ。「3分の1ルール」と呼ばれている。
製造日が2月1日で賞味期限が9か月間ある場合、納入期限が5月1日まで、販売期限が8月1日までとなる。賞味期限が3か月残っているにもかかわらず、店頭には置けなくなってしまう。農水省食品リサイクル室の担当者は、
「商品の特性に関係なく、製造、流通、消費者の持ち分を単純に3等分にしたもの。製造業者と流通が連携して商慣行を取り払い、売れるものは売っていく必要があります」
と話している。
同省では08年8月から6回にわたり、食品関連業者による「食品ロスの削減に向けた検討会」を開いている。
製造と流通の2者間で話し合いは進んでいるが、前出の全日本和菓子協会の専務理事は、こう訴える。 「賞味期限の偽装事件などで食の安全が一層求められるようになりつつあります。それ自体はいいことだと思いますが、問題なのは消費者が食べられるのか、食べられないのか、自分で見極められなくなっていることです。昔だったら、賞味期限を過ぎた豆腐をボールに水をはって保存し、毎日水を取り替えれば1週間は持つ、といったことは、家庭で普通に教わるものでした。ところが最近の消費者は賞味期限が絶対で、ちょっとでも過ぎれば捨ててしまう。消費者も含めた3者間で取り組むことが大事だと思います」
ちなみに、農水省の調べによると、家庭から出る食品ロスは約1100万トン。食品関連事業者の800万よりも多い。》

▼勝毎:掲載の公募小説は盗作 向田邦子作品の大半丸写し
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090210k0000m040084000c.html
十勝毎日新聞社帯広市)は9日、7日付紙面に掲載した一般公募の短編小説が盗作だったとしておわびを掲載した。
 同社によると、問題になったのは、市内の無職男性(78)が「お伽噺(とぎばなし)」と題し、同社の文芸作品コンクール「新年文芸」に応募した作品。社外の選考者1人が計9作品の中から佳作に選び、紙面に掲載された。しかし、社内の指摘で、向田邦子さんの短編集「父の詫(わ)び状」に収められた「あだ桜」の前半部分の大半を丸写しした内容であることが分かった。男性は盗作を認め、同社は佳作を取り消した。
 男性は「素晴らしい文章だったので多くの人に知ってもらいたかった。もう応募はしない」と話しているという。同社社長室は「今後はチェック態勢を強化したい」とコメントした。》