輸出総崩れ

▼貿易統計:円安効果も期待薄 1月の赤字額過去最大
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090226k0000m020057000c.html
財務省が25日発表した1月の貿易赤字額は9526億円と過去最大となり、世界不況による輸出激減で日本が「過去最悪の経済危機」にあることを裏付けた。同日の外国為替市場の円相場は一時、1ドル=97円台と3カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けたが、外需が縮小傾向を強める中、円安の輸出押し上げ効果は期待しづらい。逆に「円安で輸入物価が高止まれば、企業収益や家計を一層圧迫しかねない」(国際金融筋)状況に陥っている。
 日本の貿易収支は07年9月に約1兆6087億円と過去最大の黒字を記録。しかし、米国発の金融・経済危機が欧州やアジアにも広がったため、昨秋以降、輸出が総崩れした。1年半足らずで第2次石油危機時(80年1月)を上回る貿易赤字に一気に転落した。
 1月の輸出額は前年同月比45.7%減の3兆4826億円と1年前に比べほぼ半減。欧米市場での自動車やデジタル家電の歴史的な販売不振に加え、貿易総額の約5割を占めるのアジア向け輸出も急速に落ち込んだ。一方、1月の輸入総額は同31.7%減の4兆4352億円。原油価格下落で3カ月連続の減少となったが、輸出の落ち込みほど輸入は減らなかった。
 加工貿易国の日本は「戦後一貫して輸出でもうけ、企業や家計が必要な原材料・エネルギーを調達し経済を回してきた」(与謝野馨財務・金融・経済財政担当相)。急拡大する貿易赤字は、世界不況がそんな日本の経済構造そのものを動揺させていることを示し、輸入コストだけが重くのしかかる交易条件悪化で景気は一段と冷え込みかねない状況だ。》

東京市場で円安進む、3か月ぶり97円台
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090225-OYT1T00733.htm
《25日の東京外国為替市場の円相場は、国内景気の大幅悪化を悲観した円売り・ドル買いが加速し、午後5時、前日(午後5時)比1円80銭円安・ドル高の1ドル=97円15〜18銭で大方の取引を終えた。
 1ドル=97円台は約3か月ぶり。
 1月の貿易赤字が1979年以降で過去最大を記録するなど、欧米に比べて金融危機の影響が少ないと見られてきた日本経済についても、「悪化ぶりが深刻」(市場関係者)との見方が広がった。オバマ米大統領が、米議会での施政方針演説で、公的資金の追加注入を表明したことも、ドル買いの材料となった。》

▼自動車輸出総崩れ 大手8社、1月は前年比6割減
http://www.asahi.com/business/update/0225/TKY200902250297.html
《国内の大手自動車メーカー8社は25日、1月の生産・輸出実績を発表した。うち輸出台数は8社合計で約22万1千台で、前年同月比60%の大幅減になった。トヨタ自動車56.2%減、日産自動車62.1%減など歴史的な落ち込み幅となり、全社がマイナスだった。
 落ち込み幅では、ダイハツ工業(78.7%)、三菱自動車(77.4%)、マツダ(72.1%)の3社が7割を超えた。トヨタ、日産、ホンダを加えた6社が、さかのぼれる範囲で最大の減少率だった。トヨタの米国向け輸出は8割減だった。
 財務省の貿易統計によると、日本の1月の自動車輸出は対米国向けが前年同月比80.7%減、欧州連合(EU)が同69.7%減、アジアが同58.5%減。これまでは比較的堅調だった中国やロシアでも下落幅は6割以上となり、世界中の自動車市場が総崩れの様相を示している。
 8社合計の生産台数も約56万台で、前年同月比40%減。トヨタが同40.3%減、日産が59.0%減、三菱が65.0%減、マツダが66.2%減など、8社そろって前年水準割れとなった。こちらも、さかのぼれる範囲ではトヨタと日産が最大の落ち込み。日産は台数でも71年以来最低だった。
 輸出、生産の落ち込みがいつまで続くのか、まだ見えてこない。自動車メーカーは08年度、当初計画比で400万台超の減産を実施し、積み上がった在庫の消化を急いでいる。「まだ在庫水準が適正になるめどは立っていない」(大手メーカーの担当者)という悲観的な見方もある。輸出や生産の抑制が長引く可能性がある。各社は海外でも減産に取り組む。
 これまで日本の輸出をリードしてきた自動車産業の低迷は、日本経済の回復の足を引っ張っている。ある大手商社の幹部は「今の状況は在庫調整によるもの。調整が進めば、以前ほどとはいかなくとも動き出す」とみるものの、底打ち時期は早くても夏ごろになりそうだ。 》

▼1月の自動車国内生産、40%減…4社が下落率最大
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090225-OYT1T01041.htm
《国内自動車大手8社が25日発表した1月の国内生産は、8社合計で前年同月比40・1%(約38万台)減の56万4945台だった。
 新車販売不振に伴う減産が広がっているためだ。
 2008年1月の日産自動車、ホンダ、マツダ三菱自動車の国内生産合計にほぼ匹敵する台数が消失した格好だ。
 メーカー別では、マツダが66・2%減、三菱自動車が65・0%減、日産自動車が59・0%減、トヨタ自動車ダイハツ工業日野自動車含む)が34・6%減で、いずれも過去最大の下落率を記録した。
 8社合計の国内販売は、19%減の28万9600台、輸出は59・3%減の22万4287台だった。
 各社は2〜3月の工場の非稼働日を1月より増やして在庫調整にめどをつける方針だが、「生産台数が最低水準になるのは4〜6月」(スズキの鈴木修会長兼社長)との見方もある。》

▼減産緩和も将来需要は不透明 自動車輸出激減
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090225/biz0902252059013-n1.htm
《自動車メーカーの1月の国内生産が歴史的な落ち込みを記録した。基幹産業である自動車の輸出激減は、日本経済全体の不振に直結し、25日発表された1月の貿易統計で、輸出から輸入を差し引いた赤字が9526億円と過去最高に達した。これまでの減産ラッシュで在庫調整が進み、トヨタなど一部で増産に転じる動きも出てきたが、本格的な回復には欧米の新車販売が持ち直すことが絶対条件で、相変わらずの“海外頼み”が実情だ。
 「来年度下期に少しでも回復の兆しが見えればと思っているが、期待していると、ひっくり返される」。ホンダの次期社長に内定した伊東孝紳(たかのぶ)専務は、底が見えない世界同時の自動車不況に危機感を募らせる。
 1月の生産・輸出の急減は、欧米市場で大量の在庫を抱えたためだ。昨年11月にはトヨタ、ホンダ、日産の3社の米国での平均在庫日数は103日分となり、前年同月比6割強増え、適正水準(50〜60日分)の倍にも積み上がった。
 日産は、販売不振を受け、今年3月時点での在庫を前年同月より2割少ない48万台にする方針を打ち出し、減産を加速する。
 欧米や新興国の海外販売が落ち込み、在庫が急増。輸出が急減し、国内での減産や人員削減に拍車がかかる「負のスパイラル」が、各社を直撃している。》