西松建設を巡る疑惑 まとめ Vol.25

▼小沢氏「代表続投」強まる 党幹部「起訴、虚偽記載なら」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090322/stt0903220133000-n1.htm
民主党小沢一郎代表が、公設第1秘書の政治資金規正法違反事件に伴う自身の進退について、虚偽記載で秘書が起訴されるにとどまった場合、代表を続投する方針を固めたことが21日、分かった。党幹部が明らかにした。秘書の勾留(こうりゅう)期限の切れる24日までに、次期衆院選への影響や党内情勢を慎重に見極め、最終判断するとみられる。
 代表続投の背景には、「起訴イコール有罪ではなく、有罪か無罪かは最終的には裁判の結果、下される」(周辺)との判断がある。また、起訴された場合でも、虚偽記載で野党第一党党首側に強制捜査を行った東京地検特捜部に対し、世論の批判が強まるとの思惑がある。
 代表を辞任した場合、党内外で起訴事実を認めたと受け止められる懸念があり、結果的には、民主党に対する批判が強くなり、次期衆院選に悪影響を与えるとの読みも、続投に傾いている要因とみられる。
 党幹部は21日夜、小沢氏の進退問題に関し、「起訴が虚偽記載にとどまるなら続投する」との見通しを示した上で、小沢氏も同じ考えだと強調した。党内手続きとしては、秘書が起訴された場合には、小沢氏、鳩山由紀夫幹事長、菅直人代表代行らによる幹部会や両院議員総会で了承をとりつける。
 党内には「政治とカネ」問題に対する世論の反発は強いとして、岡田克也副代表が代表に就任して、次期衆院選に臨むべきだとの声がある。小沢氏は、企業・団体献金の廃止といった政治資金の見直し案を次期衆院選マニフェスト政権公約)に盛り込み、辞任論を封じたい考えだ。》

民主党・小沢代表、続投の見方強まる
http://www.ntv.co.jp/news/131486.html
《「西松建設」の違法献金事件で民主党・小沢代表の秘書が逮捕されたことをめぐり、民主党幹部は21日、秘書の起訴事実が政治資金規制法違反にとどまった場合、小沢代表は続投するとの見方を示した。
 民主党鳩山幹事長は「(小沢代表は)『何としても政権交代を実現することが、私にとって今、ここまで来て一番やらねばならないことだ。そのことを前提に、これから起こりうる事態に自分の判断をする』と」と述べ、小沢代表が政権交代の実現に強い意欲を示しているとあらためて強調した。
 一方、民主党幹部は、24日に、小沢代表の秘書の起訴事実が政治資金規正法違反にとどまった場合、「小沢代表の続投を決める両院議員総会を近く開かなければならない」と述べ、代表が続投するとの見方を示している。しかし、秘書が起訴されても小沢代表が続投した場合、党内の反発は必至で、混乱も予想される。》

▼規正法違反のみなら続投=小沢氏進退で民主幹部見通し
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009032200006
民主党幹部は21日夜、小沢一郎代表の公設秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されたことを受けた同氏の進退問題について、秘書の処分が規正法違反のみでの起訴にとどまった場合は、代表を続投する公算が大きいとの見通しを示した。
 小沢氏の秘書は24日に拘置期限を迎える。同幹部は、秘書が規正法違反だけの理由で起訴されれば「(小沢氏は)まあ続投だろう」と指摘した。同時に、続投を決断した場合は「(世論や党内に理解されるような)きちんとしたメッセージを出さないといけない」と述べた。党内に、規正法違反であっても秘書が起訴されれば党への打撃は避けられず、小沢氏は辞任せざるを得ないとの意見があることを踏まえた発言だ。》

民主党:小沢代表辞任を求める声 衆院選候補予定者の集会
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090321k0000e040050000c.html
鹿児島市で21日に開かれた民主党の次期衆院選候補予定者の集会で、小沢一郎代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件に関連し「小沢さんが並んでいるポスターだと張れない」「小沢さんに身を引いてもらい、新しい人で選挙を戦ってもらいたい」などと小沢氏の代表辞任を求める声が出た。
 集会に出席した鳩山由紀夫幹事長は「小沢代表がどのような決断でも、しっかりと支えて政権交代を果たさなければならない。それが幹事長の役割だ」と釈明に追われた。》

▼西松の東北受注工事 岩手・秋田 突出230億円 小沢王国 献金で談合調整
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090322/crm0903220134001-n1.htm
小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」の政治資金規正法違反事件で、西松建設が東北で過去10年間に受注した公共工事は総額約437億円にのぼり、小沢氏の地元・岩手と秋田の両県で約230億円と、東北全体の半分以上を占めていたことが21日、産経新聞の調査で分かった。ゼネコン各社が東京地検特捜部の事情聴取に「東北の公共工事で談合していた。小沢氏側への献金は受注調整を成功させるためだった」との趣旨の供述をしていることも捜査関係者の話で判明。献金の背景に受注調整があった疑いが濃厚となった。
 工事経歴書などによると、平成10年以降、西松が受注した国や自治体発注の工事は、東北全体で45件、総額約437億円だった。
 岩手県では計12件、約107億9000万円で、東北での受注総額の約25%を占め、東北全県で2位だった。最高額は、国交省東北地方整備局発注の胆沢ダム洪水吐き打設工事で、18年に約50億1000万円。14〜15年には、県発注の花巻空港関連工事を計7件、総額約18億円で受注した。
 また西松は14〜17年、秋田県で計4件、約122億5000万円の公共工事を受注。東北での受注総額の約28%を占め、トップだった。受注額が最高だったのは、同整備局が14年に発注した森吉山ダムの第1期本体工事で約61億6000万円。県発注では、県立武道館建築工事の約12億8000万円が1位だった。
 ゼネコン関係者によると、小沢氏の地元・岩手と、影響力が特に強い秋田は、「小沢王国」とも呼ばれる。東北には、「談合決別宣言」があった17年末前後までゼネコン各社の談合組織があり、鹿島の東北支店幹部が「仕切り役」となって「チャンピオン」と呼ばれる公共工事の本命業者を調整。陸山会の会計責任者、大久保隆規容疑者(47)の前任者に本命業者名を報告し、了承を得ていたとされる。この手法は後任の大久保容疑者に受け継がれたという。
 捜査関係者によると、各ゼネコンの元担当者らは、特捜部の聴取に「東北の公共工事で談合していた。小沢氏側への献金は受注調整を成功させるためだった。受注調整から外されないために献金した」との趣旨の供述をしているという。》

▼違法献金:総選挙前の立件、検察OBも「なぜ?」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090322k0000m040107000c.html?link_id=TT002
西松建設の違法献金事件で小沢一郎民主党代表の秘書を逮捕した東京地検特捜部の捜査について、今秋までに行われる総選挙に与える影響を考え、「なぜこの時期に」と困惑する声が、多くの検察OBからも出ている。容疑内容についても「立件のハードルを以前より下げているのではないか」との疑問もくすぶっている。

 「単純に考えて時期は最悪だ」。ある元検察幹部は漏らす。政治的な動きだと民主党サイドが反発している点についても「10人中9人がそう思うだろう」と捜査に手厳しい。
 特捜部の捜査は、選挙への影響を極力避けてきた歴史がある。典型的なのが00年6月の中尾栄一元建設相の事件。6月25日の衆院選投開票日を待ち、5日後の同月30日に受託収賄容疑で逮捕した。
 一方「3月末で虚偽記載は時効となる。この時期以外にタイミングがなかった。後になるほど衆院議員の任期切れも近づく」と理解を示す元幹部もいる。
 だが、さらに別の元幹部はこう指摘した。「(93年の)ゼネコン汚職事件も総選挙直前に着手したが、今度の総選挙は『民主の逆転なるか』という、とてつもなく意味のある選挙。影響は無視できないものがある。過去の事例からすると、そこら辺(を踏まえてきちんと判断したのか)は『どうかな』という気はする」

 「総額が2100万円で、しかもすべて表の寄付。その名義を偽った疑いがあるというだけの今回の事件は、規模、様態とも極めて軽微であることは否定できない」。元特捜部検事の郷原信郎桐蔭横浜大法科大学院教授はそう指摘する。
 04年に発覚した日本歯科医師連盟を巡る政治資金規正法違反事件で、特捜部は1億円の裏献金を受領した自民党橋本派平成研究会)の会長代理だった村岡兼造官房長官政治資金規正法違反で在宅起訴した(有罪確定)。しかし、党の政治資金団体国民政治協会を経由して3000万円を迂回(うかい)献金されながら収支報告書に記載しなかったとして検察審査会で「起訴相当」とされた山崎拓元副総裁は不起訴とした。
 こうしたことから他のOBも、今回の事件で立件するか否かの境目を示す「ハードル」について「下げたと受け止められても仕方がない」と懸念する。
 「時期が最悪」と指摘した元幹部は、こうも語った。「(ロッキード事件の田中)角栄(元首相)に匹敵する相手(小沢氏)を相手にするわけだから、このまま(の容疑で)終わるとまずいよ」。世論の反発を念頭に、危機感を募らせた。》

▼西松献金事件:捜査大詰め 世論次第の「国策」批判
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090321k0000e040050000c.html
西松建設の違法献金事件を巡る東京地検特捜部の捜査が進む中、秘書が逮捕された小沢一郎氏が代表を務める民主党などからは「国策捜査」といった批判も飛び出している。しばしば論じられる「国策捜査」。その意味するものは。
 元来、検察は不当な政治的圧力を受けない仕組みを持ち、その象徴が法相の指揮権の制限だ。法相が指揮できるのは検事総長だけで、その指揮権が発動されて事実上、捜査が止まったケースは造船疑獄(54年)以来、半世紀以上ない。元特捜部検事の郷原信郎桐蔭横浜大法科大学院教授は「国策捜査が政府・与党と結託して捜査するという意味なら、あり得ない」と断じる。ではなぜ「国策捜査」と呼ばれるのか。

 ◇「政策一致型」
 過去に広く「国策捜査」と受け止められたのは、破綻(はたん)した金融機関の旧経営陣に対する刑事責任の追及だ。多額の公的資金が投入され「国民の納得を得るには責任所在の明確化が不可欠」との考えが検察当局にもあった。
 旧住宅金融専門会社(96年)や日本債券信用銀行(98年)、日本長期信用銀行(99年)などの事件では、いずれもトップが特捜部に逮捕された。このうち日債銀長銀は、旧経営陣の責任追及をうたった金融再生法の適用事件だった。国の政策に基づく捜査という意味ならば「国策捜査」そのものと言える。

 ◇「世間一体型」
 にわかに「国策捜査」が注目されるようになったのは、鈴木宗男衆院議員の「側近」で外務省休職中の佐藤優・元主任分析官の著書「国家の罠」(05年発刊)によるところが大きい。その中で、担当検事は「これは鈴木宗男を狙った国策捜査」と告げたとされる。当時の検察幹部によると、実際にこうしたやりとりがあったという。
 鈴木議員は02年、いわゆるムネオハウス問題が浮上して証人喚問などで「疑惑のデパート」と呼ばれた。当時の検察幹部は「国会であれだけ騒ぎになって検察が知らないふりはできない」と振り返る。佐藤元分析官は国策捜査を「国家が『自己保存の本能』に基づいて(中略)初めから特定の人物を断罪することを想定した上で捜査が始まる」と定義。世論が解明を求めた鈴木議員への捜査を、検事たちも「国策」的だと認識したようだ。

 ◇「単騎独行型」
 政官財界の要人を標的とし、人員的な制約から「一罰百戒」にならざるを得ない特捜部の捜査は「恣意(しい)的」との批判と常に隣り合わせだ。最近の「国策捜査」との指摘は、「世論の支持」が盛り上がらずに捜査が「単騎独行」の様相を見せた場合に現れるようだ。
 典型的なのはライブドア事件(06年)。一部識者や堀江貴文元社長は「国策捜査で狙い撃ちされた」と検察批判を繰り返した。けれども判決は1、2審とも「不自然、不合理な弁解に終始し、反省の情はまったく認められない」と一蹴(いっしゅう)した。

 「国策捜査」という言葉に、郷原氏は「その都度、意味するものは違うが、検察の捜査に対する不信がこめられている」と見る。
 さて、今回の違法献金事件で、民主党サイドが繰り出す「国策捜査」の大合唱。国民はどう判断するのか。》