戦後最悪の不況――2009年02月11日

▼「家賃崩落」都心で始まった
http://www.aera-net.jp/summary/090207_000657.html
《賃貸住宅の家賃は、地価や持ち家の相場ほど大きく上下しない----。
不動産業界にはそんな「定説」がある。だが、首都圏の賃貸市場で、それを覆す動きが進行している。
都内に開業して35年の不動産鑑定士、田原拓治さん(65)は、目に見える家賃の値下がりがまもなく起きると踏んでいる。
不動産業界紙住宅新報」の調べによると、三軒茶屋の昨年9月の平均家賃は半年前に比べ、ワンルーム(広さ20平方メートル)で5%減、1LDK~2DK(45平方メートル)で3・7%下落した。
2005年ごろから、地価は反転し、いわゆる「ミニバブル」の様相を呈した。それが07年秋ごろからはじける。前回バブルの経験に照らせば、家賃下落は2年半後の10年春の計算だが、田原さんはそれより1年早い今春にも始まると予測する。
「昨秋のリーマンショックが不動産市場に与えたインパクトは甚大だった。そのぶん、家賃相場の値崩れは早まるはずだ」
そのうえで、こう付け加えた。
「家賃は前回バブルで値上がりする前の水準、すなわち現在の8割にまで下がっていくのではないか。年3%程度のペースで5、6年かけて、だらだら下がっていくだろう」
昨年9月には、品川区東五反田にある高級賃貸マンションの一室が、月25万円という破格の安さで貸し出された。
不動産コンサルティング会社・さくら事務所を経営する長嶋修社長(41)はこう断じた。
「住宅が膨大に余っている。賃料がじりじりと下がる傾向は続く」
日本にはじつに世帯数の1.14倍の住宅が存在している。言い換えれば住宅の12%は空き家だ。
賃貸物件に限れば、03年時点で2割に相当する367万戸が全国で空いていた。首都圏105万戸、大阪41万戸、愛知20万戸、福岡でも14万戸が空室だ。
「空室数は今はさらに増えている」(長嶋さん)》

▼「戦後最悪の不況」の見方強まる GDP民間予測
http://www.asahi.com/business/update/0210/TKY200902100350.html
《今の景気後退は、「戦後最悪」になるという見方が強まっている。民間シンクタンク35社の予測の平均によると、昨年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)は、戦後2度目となる前期比10%超(年率換算)のマイナス。08年4〜6月期から始まったマイナス成長は今年7〜9月期まで続き、戦後最長の6四半期連続に及ぶという。
 内閣府の外郭団体である経済企画協会が10日、調査結果をまとめた。政府は16日に昨年10〜12月期のGDP速報値を公表する。
 民間予測によると、昨年10〜12月期の実質GDPは年率換算で10.6%減。統計をさかのぼれる55年以降で、2ケタのマイナス成長は第1次石油危機の影響を受けた74年1〜3月期(13.1%減)の1度だけ。四半期で見た場合の実質マイナス成長は、バブル景気崩壊に伴う「平成不況」の93年と、ITバブル崩壊後の不況期の01年にそれぞれあった3期連続が最も長い。
 年度ごとの予測は、08年度の実質GDPは前年度比2.2%減、09年度も2.6%減と2年連続で過去最悪のマイナス成長に沈む。これまで最も減少幅が大きかったのは98年度の1.5%。10年度にようやく1.2%増とプラスに転じる見通しだ。
 世界同時不況が深まるなか、輸出や生産に関する経済指標は昨年秋以降、歴史的なペースで落ち込んでいる。減産ラッシュを受けて企業の人員削減の動きが加速しており、昨年末時点で4%台の完全失業率が、過去最悪の5%台後半を超えて上昇する可能性があるとの見方が出ている。雇用情勢の悪化で消費不振も深まりつつある。今年1〜3月期の実質GDPも、2期連続で2ケタのマイナス成長になると予測するシンクタンクもある。》

▼春解散遠のき、焦る公明 都議選との「ダブル選」懸念
http://www.asahi.com/politics/update/0210/TKY200902100318.html
麻生内閣のさらなる支持率低下に、公明党が焦りを募らせている。支持率が回復せずに予算成立後の「春解散」が見送られれば、公明党が嫌がる7月の東京都議選との「ダブル選挙」の可能性が出てくるからだ。
 「本予算と関連法案が成立した段階で、総理の解散の判断が可能になる」。公明党の漆原良夫国対委員長は9日の記者会見で、首相の専権事項である衆院解散の時期にあえて踏み込んだ。
 公明党が「春解散」にこだわるのは、都議選との重複を避けるため。都議選は中選挙区制のため、自民と公明の候補者も激しく競う。「都議選で殴り合っている最中に、総選挙で自公協力なんてできない」(幹部)というわけだ。
 もしダブル選挙になれば、しわ寄せを最も受けるのは、東京12区から立候補する太田代表。地盤の北区と足立区西部は都議選で自民、公明、民主、共産などの候補が争う。ダブル選挙になれば、太田氏の選挙の自公協力は崩壊しかねない。公明党幹部は「自民票がなければ太田代表は落選する」と警戒感を隠さない。
 支持母体の創価学会は、政界進出のきっかけとなった都議選に全国の支持者を総動員する。7月5日予定だった都議選の投開票日が1週間後の12日になったのも、「春解散」に照準を合わせる公明党が、都議選と組織力が分散するのを避けるために働きかけたからだった。
 しかし、内閣支持率下落で「春解散」の大前提が崩れてきた。「支持率14%では解散はできない」。麻生政権を我慢強く支えてきた党幹部からは悲痛な声が漏れる。公明党は「ダブル選挙は絶対反対」と自民党側に伝えており、「常識ではダブルは考えられない」。ベテラン議員は「今後も支持率は上がらない。解散はどんどん先延ばしになる」として、9月の任期満了に近づくとみている。》

▼与謝野経財相:自民、実は社民主義 新自由主義を批判
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090211ddm002010064000c.html
与謝野馨経済財政担当相は10日の参院財政金融委員会で「この10年間の自民党の政策は外国から輸入したものを無理やりに移植してきたのではないか」と述べ、新自由主義的な経済政策に疑念を呈した。峰崎直樹氏(民主)の質問に答えた。
 与謝野氏は「この10年間の経済界の動きは決して我々が目指している社会ではない」と指摘。「『強者が栄え、弱者が滅びる』という感じは自民党内にはあまりない。自民党は実は社会民主主義の政党だと思っている」と述べた。》

大阪府、11年ぶり赤字脱却へ…橋下知事流の荒療治効く?
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090210-OYT1T00087.htm
《10年連続で赤字予算を組んできた大阪府の一般会計当初予算案が、2009年度に黒字に転じる見通しとなった。
 世界的な景気後退の影響による税収減などで450億円の歳入不足が懸念されていたが、橋下徹知事の08年度の財政再建で、年度末に数百億円の余剰金が生じる見込みとなり、就任2年目で、11年ぶりの赤字脱却を果たす見通しが立った。
 府の一般会計当初予算案は、1999年度に169億円の収支不足に陥って以降赤字が続き、01年度からは借金返済のための減債基金から430億円〜1145億円繰り入れてきたが赤字は解消できず、08年度も50億円の歳入不足だった。
 橋下知事は、08年度の予算編成で、職員給与を都道府県最低水準まで引き下げたほか、私学助成や市町村補助金を削減、減債基金の繰り入れも中止し、1100億円の収支改善を達成。
 こうした取り組みと経費節減などで、年度末に財源として回せる数百億円の余剰金を財源とし、行政改革推進債などと合わせると、税収減を見込んでも黒字転換が可能になった。
 08年度に185億円発行した赤字債の退職手当債も、09年度は発行しない方向で調整を進めている。》

▼漫画レンタル市場急拡大 再来店効果 異業種も参入
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200902110018a.nwc
《出版物の販売が不振な中、漫画のレンタル市場が急拡大している。2004年に著作権法が改正され出版物にも貸与権が認められたのがきっかけだ。大手レンタル店が参入し、手ごろな値段で借りられるため、再び漫画を手に取る人が増えている。
 DVDレンタル大手のTSUTAYAがコミックレンタル事業に本格参入したのは、07年4月。以前から一部店舗で実験的に行っていたが、「貸与使用料など運用方法が決まり環境が整ったことに加え、ビデオテープからDVDへ商品が切り替わって、陳列スペースに余裕ができたことも一因」と担当の咲山一郎さんは参入理由を明かす。
 全国の約1360店舗のうち 250店舗でコミックレンタルを導入。1万〜5万冊の在庫をそろえ、一冊70円程度で借りられる。インターネットでもレンタルしているが、「店と違ってシリーズごとの貸し出しで、まだ試験段階」だ。
 漫画の単行本は単価が安く粗利も高い。顧客の再来店率を上げる効果もあるとみて異業種からの参入が相次いでいる。
 金沢市の「スポーツクラブヴィテン」では、1月にコミックレンタルの棚を設置した。他社との違いを出すとともに、会員により施設を利用してもらいたいと、サービスの1つとして無料で貸し出した結果、「貸し出しや返却で来店回数が増え、スポーツ施設の利用率が上がった」と新保大志さんは話す。
 コンビニエンスストアのam/pmジャパンも1月から千葉県市川市の店で試験的にコミックレンタルを始めた。3000冊をそろえ、3月末まで扱う。「コンビニ利用者と漫画の読者層は同じ」とみて、再来店率を上げるのが狙いだ。
 コミックレンタルの利用者の約6割は女性で、主婦が多い。「漫画喫茶などは女性には入りにくく、自宅で家事の合間に読めるのがいいようだ」と、レンタル店などに漫画単行本を卸している「春うららかな書房」の和田茂さんは話す。
 最近のテレビドラマや映画は漫画が原作のものが多く、大人の観賞に耐える内容の良い作品も増えている。「買うよりレンタルの方が敷居が低く、再び漫画に触れるきっかけになっている」とみる。
 貸与権の正式運用が始まった07年2月時点では、 200店舗前後だった店舗数は昨年末には約1200店舗に急増。市場規模も70億円を上回ったもようだ。関係者は「まだ認知度は低いが、10年後には 300億円を上回る市場になる」と期待している。》

▼地下鉄とカーシェアリングを連携、都とオリックス自動車がモデル事業
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090210/131030/
《地下鉄と、1台の自動車を複数の人が共同で使うカーシェアリングのサービスを連携させ、環境負荷の低減を図るモデル事業を、オリックス自動車と東京都が2月10日に始めると発表した。
 都営地下鉄浅草線西馬込、中延など10駅の周辺に駐車場を設けて、カーシェアリング用車両を合計14台配置する。利用者は目的地の最寄り駅まで地下鉄に乗り、駅から目的地までカーシェアリング用車両で移動することで渋滞の回避などを図れる。またCO2排出削減を見込めるという。
 モデル事業は8月10日まで実施する。利用者はオリックス自動車の会員サービスに登録し、パソコンや携帯電話から日時を予約して車を利用し、その後ステーションに戻す。カーシェアリングの費用は、キーになるICカードの発行手数料が1480円。月額基本料2980円のプランの場合、軽自動車で15分当たり160円などの料金がかかる。首都圏の共通ICカード乗車券「PASMO」をキーにすることも可能。
 オリックス自動車と東京都は今後、利用者にアンケートを実施し、その結果をもとに大江戸線三田線新宿線への展開を検討する。》