GM・クライスラー再建計画

▼GM・クライスラー再建計画、政府に追加支援約2兆円を要請
http://jp.reuters.com/article/financialCrisis/idJPJAPAN-36544720090218
《米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは17日、米政府に経営再建計画を提出し、両社合わせて220億ドル近くの追加支援を要請した。また、人件費抑制について全米自動車労組(UAW)と暫定合意に達したことを明らかにするとともに、生産能力削減や雇用削減を含む抜本的なリストラ(事業再編)策を発表した。
 両社はこれまでに総額174億ドルの緊急融資を米財務省から受け取っている。
 GMは当初見通しの倍以上となる最大300億ドルの政府支援を要請し、新たな政府融資がなければ3月にも手元資金が枯渇するとの見通しを示した。……
 一方クライスラーは、今後3年間、国内市場の低迷が続くとして50億ドルの追加資金援助を求めた。同社はこれまでに政府から40億ドルの融資を受けており、支援規模は今回の分と合わせて90億ドルとなる。
 両社ともUAWとの交渉で基本合意に達し、人件費は米国で操業している日本メーカー並みに引き下げられる見込みだ。
 両社の経営再建計画は17日が財務省への提出期限だった。両社は今後、3月末までに計画の実効性を示す必要がある。》

▼米GMの経営再建計画の概要
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnTK838193520090218
《米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は17日、経営再建計画を提出し、事業存続に最大300億ドル(融資枠75億ドルを含む)の公的資金投入が必要になると表明した。
 GMは、景気低迷を理由に、米自動車業界全体の今年の販売予測を昨年12月末時点の1200万台から1050万台に下方修正。
 再建計画は、無担保債務の3分の2カット、退職者向け医療保険基金の拠出50%カットで、純債務を除く同社の正味現在価値(NPV)が50億─140億ドルとなると算定。
 2012年から政府融資の返済を始め、2017年までに完済するとしている。
 先進技術の開発を通じて、温室効果ガスの削減と石油依存度の低下を促すことで「国益に多大な貢献ができる」ともしている。
 経営再建計画は117ページにのぼる。計画のその他の骨子は以下の通り。
 <ブランド、工場>
 *国際的なブランドである「シボレー」「キャデラック」「ビュイック」とトラックの「GMC」を重点ブランドとする。2012年の投入モデルは36とする予定(昨年12月時点の計画から4モデル削減)。
 *昨年末時点で47ある製造工場を2012年には33に削減する(昨年12月時点では38工場への削減を計画していた)。
 *サーブ部門の売却について、スウェーデン政府と協議中。「GMは、この方向でスウェーデン政府の支持を得られると期待しているが、サーブは今月中にも再編申請を行う可能性がある」
 *「サターン」ブランドについては、スピオンオフや売却の可能性もあるが、現在の製品サイクル終了に伴い段階的に廃止する計画。
 <雇用>
 国内従業員(時給労働者、給与労働者)は、昨年末時点の9万2000人から2012年までに7万2000人に削減。
 世界全体では今年4万7000人削減。
 <ディーラー>
 ディーラー数は、昨年の6246から2012年までに25%減らし4700とする。
 主要マーケットでは、ディーラーを再編し、立地の良い地区のディーラーを増やす。小規模マーケットでは、自然減やディーラー主導の再編を通じて、ディーラーを削減する。
 <労務費>
 米国に進出している海外メーカー並みに労務費を引き下げることで2009年末までに労組と原則合意することを目指す。
 全米自動車労組(UAW)との労使協定を修正する暫定合意は、組合員の批准待ち。
 <社債保有者>
  無担保債務の3分の2を株式に転換することで、年間約10億ドルの利払いを節約することを想定。
 GMは「社債の交換を成功させるには、破産法の申請を避けるため、いくつかの重要な条件を満たす必要がある」と指摘。
 「当社は、破産法の適用を申請すれば再建が長期化するとみており、破産法の適用下から脱却できない可能性も十分にある」としている。
 <技術開発向け融資>
 GMは、エネルギー省から先進技術開発向けに総額77億ドルの融資を受け取ると予想している。
 <資産売却>
 ACデルコの独立系アフターマーケット事業と、フランスのトランスミッション工場売却で年内に計15億ドルの売却収入を見込む。
 「売却先候補との交渉は順調に進んでいる」が、売却が遅れたり、売却額が予想を下回った場合、年内に追加の資金が必要になる。
 <海外政府の支援>
 GMは、海外政府から2010年までに約60億ドルの支援を受けられると予想している。
 <破たんリスク>
 GMは、破産法の適用を申請すれば、自動車業界と国内経済全体の「大きな」システミックリスクとなり、昨年のリーマン・ブラザーズの破たんのようなさまざまな影響が出ると指摘。
 「伝統的な破たん処理では、多くの債務が履行されない可能性があり、結果的にそうした債務が米政府に移される可能性がある」
 再建計画では、「プレパッケージ型」の連邦破産法11条適用申請のシナリオや、一部の債権者の反対を押し切って再建を進める「クラムダウン」のシナリオも検討しているが、どちらの場合も、売り上げの落ち込みで、破産法の適用申請による負債の削減分が帳消しになる、と結論している。
 GMの経営再建計画は財務省のウェブサイト
www.treasury.gov/initiatives/eesa/agreements/auto-reports/GMRestructuringPlan.pdf
に掲載されている。》

▼米クライスラーの経営再建計画の概要
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36541520090218
《米クライスラーは17日、米財務省に対して177ページの経営再建計画を提出した。必要な政府融資額として、当初予想を20億ドル上回る総額90億ドルとの見方を示した。
 クライスラーの再建計画は、全メーカーの米国内自動車販売台数として、2009年が1010万台、2012年が1160万台を想定している。これは、クライスラーの昨年12月時点の予想を下回っている。
 以下は経営再建計画の概要。
 ◎ディーラーの譲歩
 クライスラーは、ディーラーのマージンを削減、さらにガソリン代の払い戻し制度を廃止する。また、サービス契約のマージンも削減する。
 ◎労働組合の譲歩
 労働条件や組合健保基金「任意従業員福利厚生基金(VEBA)」の変更に関するタームシート(条件規定書)は、外国自動車メーカーの米工場とコスト面での競争が可能になる内容。ただ健保基金に関する条件を変更するかどうかは、一段の検討の結果や債務再編にかかっている。
 ◎サプライヤーの譲歩
 クライスラーサプライヤーとの交渉を行っており、「相当なコスト削減で合意」できる、と確信している。またクライスラーは、自動車メーカーの買掛金に政府の保証を付けるというサプライヤー団体の提案を支持する。 
 ◎債権者
 一部の債権者団体からの借り入れ残高を50億ドル圧縮する。これにより、年間で3億5000万─4億ドルの利払いを節減できる見通し。
 ◎提携
 伊フィアットとの提携計画は、米自動車市場の安定化につながり、クライスラーの政府融資返済を加速させる。存続可能性を高めるために、生産面での提携の発展や、グローバルな提携の形成を目指す。
 ◎経営陣の譲歩
 確定拠出年金(401k)プランへの拠出や、パフォーマンス・ボーナスを一時的に停止するほか、退職者の生命保険料の負担も廃止する。
 ◎エネルギー省の支援
 エネルギー省から技術開発向け資金として2010年に25億ドル、2011年に20億ドル、2012年には15億ドルの支援を受ける。》