マスコミ受難――2009年2月24日

▼人事官、初の不同意…人選は難航の見通し
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090223-OYT1T01071.htm
《政府が国会に提示した8機関16人の国会同意人事案件のうち、人事院人事官候補の千野境子・産経新聞特別記者ら3機関7人の人事案が23日、白紙となった。
 7人は衆院では同意を得たが、23日の参院本会議では民主、共産、社民各党と民主党統一会派を組む国民新党の反対で否決、不同意となり、両院の同意が得られなかったためだ。人事院によると、人事官の人事が不同意となるのは初めて。人事官は総裁を含めて3人いるが、異例の2人体制となる可能性が出てきた。
 人事官3人のうち1人は1953年以降、報道機関の出身者が就任してきた。4月1日に任期満了となる小沢治文人事官も元日本経済新聞社常務だ。残る2人は官僚OB、大学関係者、民間企業などから選ばれてきた。現在の谷公士総裁は元郵政事務次官、原恒雄人事官は元JR東海副社長だ。
 小沢氏の後任選考にあたり、政府は民主党の意向を考慮し、人事官で初となる女性を候補に選んだ。17日には、衆参両院の議院運営委員会で所信聴取も行ったが、民主党は「人事官の1人が報道機関出身者の指定ポストになっているのは問題だ」として反対した。
 漆間巌官房副長官は23日の記者会見で、人事官人事について「報道機関の方の見識を政府の仕事に生かすためにやっている。報道機関関係者が必ず否決されるのなら、それ以外の方を選ばざるを得ない。所信聴取をしながら、こういう結論を出すのはいかがなものか。どういう人選をしたらいいのか分からない」と述べ、人選は難航するとの見通しを示した。》

朝日新聞、所得隠し3億9700万円 国税指摘
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090223AT1G2303D23022009.html
朝日新聞社は23日、東京国税局の税務調査を受け、2008年3月期までの5年間(一部は7年間)で計約3億9700万円の所得隠しを指摘されたことを明らかにした。所得隠しとされたのは出張費など編集関連費で、このうち京都総局の出張費など約1800万円はカラ出張などの架空経費と判断された。》

朝日新聞阪神支局襲撃事件で検証記事 「手記に真実性ない」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090223AT1G2300H23022009.html
週刊新潮朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)襲撃事件の実行犯を名乗る男性(65)の手記を掲載したことについて、朝日新聞は23日付朝刊に「手記に真実性はない」とする検証記事を載せた。記事によると、犯行時の服装や現場の状況など事件の重要部分が事実と異なっていた。「警察庁など捜査当局も『男性の証言は信用できず、事件に関与した可能性はない』とみている」という。》

電通日本の広告費調査 景気後退で5年ぶりに前年割れ ネットが躍進
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090223/biz0902232219020-n1.htm
電通が23日発表した平成20年の日本の広告費調査によると、景気の急速な悪化で総広告費は前年比4・7%減の6兆6926億円と5年ぶりにマイナスに転じるなか、インターネット広告が同16・3%増と躍進して、平成8年に統計に登場して以来初めて、構成比が10%を超えた。ネットが今年、新聞を抜き、テレビに次ぐ“第2の広告媒体”に躍り出る可能性が高まった。
 北京五輪など広告出稿に追い風もあったが、リーマン・ショックのあった秋以降、自動車や金融、不動産などを中心に企業の広告費が大きく落ち込んだ。
 新聞に雑誌、テレビ、ラジオを加えた既存のマスコミ4媒体の合計は、4年連続で減少、昭和22年の統計開始以来初めてシェアが50%を切った。なかでも活字媒体の落ち込みが顕著で、新聞は同12・5%減、雑誌が11・1%減と、いずれも最大の落ち幅となった。
 一方、インターネット広告は、同16・3%増の6983億円と伸長、新聞の8276億円に肉薄した。新聞の落ち込み、ネットの伸びのペースがそれぞれ今年も続けば、両者のシェアは逆転することになる。
 ネット広告は、検索キーワードに応じて広告を表示する「検索連動型広告」などが消費行動に直結するとされている。電通総研コミュニケーション・ラボの北原利行部長も「企業が広告費を絞り込むなかか、広告効果が見えやすいネットに異動している」と分析、高い費用対効果を求める企業の出稿を後押ししていることがうかがわれる。
 また、携帯電話向けのモバイル広告も通信料定額制の普及や端末の機能向上を追い風に同47%増となり、新たな広告媒体として存在感が高まっている。》

▼フランス:「18歳新聞タダ」各紙を救えるか 一石二鳥狙うサルコジ大統領
http://mainichi.jp/select/world/news/20090223ddm012030003000c.html
サルコジ仏大統領は1月末、若者の新聞離れ防止と、経営難の続く仏メディア支援策の一環として、選挙権を得て成人となる18歳の若者すべてに1年間、日刊紙を無料配達する政策を発表した。日本では考えられない政府によるメディア支援策。仏メディアの事情を探った。
 大統領は「新聞を読む習慣は若いうちに身につけるべきだ」と述べ、他に税制優遇など3年間で計6億ユーロ(約700億円)のメディア支援策を発表した。仏各紙は印刷・配達経費が割高な上、ネットや無料紙の急増に追われ慢性的に赤字を続けている。仏政府はすでに毎年15億ユーロ(1740億円)を直接・間接に支援している。
 無料配達制は政府のメディア諮問委員会が提言し、採用された。18歳読者が自由に1紙を選んだ上で各紙が発行費を、政府が配達費を負担する。大統領は支援策を仏主要紙幹部を集めた会合で発表し、出席した幹部全員が支援を歓迎した。
 仏最大の地方紙「西フランス」紙(80万部)は3年前から独自に18歳無料配達制を実施しており、デタルレ副社長(69)は「1年後の購読継続率は0%との予想もあったが、結果は15%と予想以上だ。18歳は選挙権を得る年齢だが、フランスでは大学に入り家から独立する年齢でもあり、新規購読者となる」と支援策を歓迎している。
 仏各紙はいずれも部数減と財政難に苦しんでおり、たとえば中道左派ルモンド紙は02年には発行部数が40万部を超していたが08年には30万部と、6年間で約10万部の減少。07年には単年度で2000万ユーロ(23億2000万円)の赤字を出し、累積赤字は1億5000万ユーロ(174億円余)に上り、昨年来の金融危機で事態は一層深刻化している。
 仏各紙はまた、ルモンドは航空機・メディア大手のラガルデール社が大株主▽左派リベラシオンは銀行家ロチルド氏が大株主▽右派フィガロは与党・国民運動連合上院議員で航空防衛企業ダッソー社会長のダッソー氏が社主−−など、債務削減のたびに企業家の株保有率が高くなっている。紙面への直接介入はないとされるが、間接的影響を指摘する声はある。
 デタルレ氏によると、仏紙はどの社も「部数増はもう期待できない」の点で一致。広告増も難しく、ネットは伸びているが大きな利益を出すには至らず「印刷・配送コストの合理化が重要となってくる」という。
 フランスの印刷費は英国などより30%ほど高い。地方紙は印刷工を直接採用しているが、全国紙は左派労組・労働総同盟(CGT)に印刷費を支払い、労組が組合員に分配する形となっており、人員削減はより難しい。解雇は不可能で、繰り上げ退職を進め無補充の形で削減するほかない。
 また、フランスでは宅配制度は30年前に始まったが人件費高騰で維持が難しく、ルモンドなど全国紙は駅売りが9割近い。デタルレ氏は「新聞配送は共同配送会社NMPPが1947年から独占。地方紙にはNMPPから独立しようという機運があって独自宅配比率が高く、本紙は宅配50%、郵送15%、駅売り35%で、これが全国紙との財務体質の差に表れている」と話す。
 部数減、財政難から、政府の支援策は当然歓迎される。フランスは44年、それまで発行していた250紙を「ナチの報道機関となっていた」としてすべて解体。ほぼ全紙が戦後ゼロから発行を再開したため、印刷設備や発送など政府の全面支援を受けて出発し、以来65年間政府支援が続いている。右派フィガロ紙も左派・共産党機関紙リュマニテも支援を受け、支援による政府の干渉はないとされる。
 また、英メディアは「仏紙の経営悪化の一因は総計800万部という英国の半数の少部数にある」(日本は約5149万部)と批判するが、フランスにはプライバシー報道に厳しい刑法・民法があり、英国のような大衆紙がない。一部仏週刊紙はプライバシー報道で部数拡大を目指したが裁判でいずれも敗訴し、多額の罰金と賠償金を払った後に方針を元に戻している。
 デタルレ氏は「仏国民にプライバシー規制緩和論議はなく、法がある限りプライバシー報道は見合わず、フランスで大衆紙は成り立たない」と話す。》

▼NHK福岡爆発事件、容疑者の写真公開…建物内うろつく
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090223-OYT1T00945.htm
《NHK福岡放送局(福岡市中央区)で22日夕に起きた爆発事件で、福岡県警中央署は23日、防犯カメラに記録された容疑者の男の写真を公開した。
 発表によると、身長約1メートル70、黒色ニット帽、サングラス、マスク姿。上下とも紺色の服で白い手袋をはめている。》

▼渋谷のNHKに実弾か、小包で「赤報隊」の3文字も
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090223-OYT1T01100.htm
《23日午後6時頃、東京都渋谷区神南2のNHK放送センターの職員から、「ライフル銃の実弾のような金属1個が入った封筒が郵送されてきた」と警視庁代々木署に届け出があった。
 同庁幹部などによると、金属は長さ4〜5センチほど。縦書きで「赤報隊」の3文字が印刷されたA4サイズの紙に、テープのようなもので張り付けられていた。差出人は書かれていなかった。》

▼GMとクライスラー「破産後再建」検討 米紙
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090224/biz0902240013001-n1.htm
《23日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、経営危機に陥り政府から支援融資を受けているゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの2社について、米財務省の外部アドバイザーが破産処理をした上で再建を目指す方法の具体的な検討に入ったと報じた。破産処理の費用は最低で過去最大規模の400億ドル(約3兆7000億円)になるとしている。
 同紙によると、アドバイザーらは、2社が連邦破産法11条に基づく処理に入った際、金融機関が事業継続のための融資(DIPファイナンス)を実施し、政府が融資に保証を付ける手法を検討している。民間融資の一部は、政府融資の返済にあてられるという。すでに複数の金融機関に対し、参加を打診している。
 ただオバマ政権は、失業の急増や部品メーカーなどの連鎖破綻(はたん)の危険もある破産処理は最後の手段と位置づけており、GMのワゴナー会長も「リスクが高くコストもかかる」とていた。
 2社は今月17日に再建計画を提出し、計216億ドルの追加融資を要請。大統領の対策委員会が審査に着手している。》

▼ホンダ:新社長に伊東孝紳氏 専務から6月に昇格
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090224k0000m020061000c.html
《ホンダは23日、伊東孝紳(たかのぶ)専務(55)が社長に昇格し、福井威夫(たけお)社長(64)は代表権のない取締役相談役に退く人事を発表した。6月下旬の株主総会後の取締役会で正式決定する。……伊東氏は78年入社で、主に技術畑を歩み、1990年発売の高級スポーツカー「NSX」の開発にも携わった。03年から2年間は社長候補の登竜門とされる本田技術研究所(ホンダの技術開発子会社)社長を務め、早くから次期社長候補と見られていた。
 福井社長は03年の社長就任以来、燃費のよい小型車開発を加速させるなどして事業を拡大。小型ジェット機事業などへの参入も決め、経営手腕が評価されたが、創業者の本田宗一郎氏を除くと歴代最高齢の社長となっていた。F1撤退や国内新工場の稼働延期を決め、低価格ハイブリッド車インサイト」の発売を花道に退任する。》

トヨタ:4専務が副社長に 5人体制は維持 6月に昇格
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090224k0000m020082000c.html
トヨタ自動車は23日、6月に社長に就任する豊田章男副社長(52)を支える副社長人事を発表した。笹津恭士(きょうじ)(64)、木下光男(63)、滝本正民(63)の3氏が退任し、専務4人が昇格する。留任する内山田竹志氏(62)を含め5人体制は維持されるが、このうち4人が交代する大幅刷新で若返りを図る。退任する3氏はグループ会社首脳に転じる見通し。6月に開かれる株主総会後の取締役会で正式決定する。》

▼パイオニア賃上げ見送り 沖電も統一要求離脱 電機連合
http://www.asahi.com/business/update/0223/TKY200902230298.html
《電機大手の労働組合がこの春闘で、電機連合が掲げる統一要求から相次いで離脱する。パイオニアの労組は賃上げ要求自体を見送り、いったん統一要求に沿って賃上げ要求を出した沖電気工業の労組も個別交渉に切り替える。会社の業績悪化が理由で、主要2社の労組が早々に離脱するのは異例だ。……電機連合では、三洋電機の労組が06〜07年の春闘で2年続けて統一要求から離脱したことがある。 》

▼30年後、厚生年金給付2割減 政府見通し、年収の5割
http://www.asahi.com/national/update/0223/TKY200902230329.html
公的年金制度を維持するには、65歳以上の高齢者が受け取る厚生年金の水準を段階的に引き下げ、2038年度以降は現在よりも20%低くする必要がある。厚生労働省は23日、こうした年金財政の長期見通しを公表した。現役世代の手取り収入に対する厚生年金の割合は50.1%で、政府が約束した5割を維持できると説明している。》