ヨーロッパ金融危機まとめ

メリルリンチ、トレーダー不正取引 損失4億ドル超か
http://www.asahi.com/business/update/0307/TKY200903070038.html
《米金融大手バンク・オブ・アメリカ傘下の証券会社メリルリンチは6日、ロンドンの拠点でトレーダーの不正取引が発覚したことを明らかにした。損失額は明らかにしていないが、英紙フィナンシャル・タイムズによると、4億ドル(約392億円)以上にのぼる見通しという。……米紙ニューヨーク・タイムズの報道では、損失は為替取引などで発覚。バンク・オブ・アメリカは、メリルリンチが身売り前に巨額の損失が表面化しないようにしていた可能性がないかなどについても調べているという。
 メリルリンチは昨年9月、経営難のためバンク・オブ・アメリカへの身売りを決め、今年1月1日に合併手続きを終えた。同月16日には、メリルリンチの損失が想定以上に膨らんだことなどから、バンク・オブ・アメリカが米政府から公的資金200億ドル(約1兆9600億円)の追加注入を受けている。 》

▼米メリルがロンドンのトレーダーを停職、為替取引で巨額損失の可能性=FT紙
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200903070017.html
《7日付英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたところによると、米メリルリンチは4億ドル(2億8400万ポンド)以上の損失を出した可能性があるとして、ロンドンを拠点とする為替トレーダーを停職処分にした。
 FT紙は関係筋の話として、同トレーダーがノルウェー・クローネスウェーデン・クローナの取引で損失を出したと伝えた。 》

アイルランド規制当局、メリルリンチの取引めぐる問題を調査
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200903070016.html
アイルランドの金融規制当局は6日、メリルリンチの取引をめぐる問題について調査を行なっており、英・米当局とも協議していることを明らかにした。 
 メリルリンチはこの日、ロンドン支店のトレーディング業務を最近調査した際に「異常(irregularity)」が発見されたことを明らかにするとともに、当局の調査に協力しているとした。
 アイルランド規制当局の報道官は「ロンドン支店での取引における価格をめぐる問題(mispricing)」と説明した。2月18日にメリルリンチ傘下のメリルリンチ・インターナショナル・バンクが「これに関する問題」を当局に報告してきたという。……6日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、巨額のボーナスが許可され、バンカメによる買収が成立するまでメリルが損失の計上を遅らせていた可能性についてバンカメが調査している。》

メリルリンチ為替トレーダーに損失隠し疑惑…米紙報道
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090307-OYT1T00356.htm
《米金融大手バンク・オブ・アメリカに救済買収されたメリルリンチの為替トレーダーが、不適切な取引による多額損失を隠していた疑いがあるとして、欧米の捜査当局が調査を始めたことが6日、明らかになった。……報道によると、メリルのロンドン駐在のトレーダーが昨年10〜12月、為替取引で1億2000万ドル(約117億円)の利益を上げたとされていたが、その取引の中に、不適切な取引があったという。
 メリルは合併前の昨年12月、幹部への高額ボーナスを通常より前倒しして支払ったとして、批判を浴びている。》

▼バンカメ、日本の証券事業はメリル側に譲渡
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090306AT2C0500O05032009.html
《米バンク・オブ・アメリカBOA)は4月上旬に日本の証券事業をメリルリンチ日本証券に譲渡する。BOAは1月に米メリルを買収したが、日本ではメリル側の事業規模が大きい。メリルに証券事業を集約することで早期の融合効果を引き出す。
 譲渡するのはバンクオブアメリカ証券の東京支店(東京・千代田)。金利関連などのトレーディングを軸に50人前後の従業員を抱えており、メリル側に事業譲渡する形で証券業務を一本化する。BOAは株式や投資銀行業務は手薄で、メリルリンチ日本証券と業務の重複は少ない。早期に統合の道筋を示すことで顧客の混乱を避ける。》

▼メリル幹部7人に召喚状 高額報酬でNY州司法長官
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090305STXKE021805032009.html
《米メディアによると、ニューヨーク州のクオモ司法長官は4日、昨年1000万ドル(約10億円)以上の報酬を受け取った証券大手メリルリンチの当時の幹部7人に召喚状を送付した。
 既に経営が悪化していたにもかかわらず、メリルが破格の報酬を支払ったことに批判が高まっていた。クオモ長官は、幹部報酬の開示などを定めた証券関連法に違反していないか調べる方針。
 メリルは昨年276億ドルの赤字を計上。今年1月に銀行大手バンク・オブ・アメリカ救済合併された。合併に伴うバンカメの財務悪化を防ぐため、政府は計450億ドルの公的資金を資本注入した。》

▼英ロイズ、事実上国有化へ 英主要メディアが報道
http://www.asahi.com/business/update/0307/TKY200903070116.html
《英金融大手ロイズ・バンキング・グループに対する英国政府の出資比率が現在の約4割から引き上げられて6〜7割になる見通しになり、同行が事実上国有化されることが7日わかった。英主要メディアが報じた。英国は4金融大手のうちの2行が実質的に政府の管理下に入る異常事態になりそうだ。
 英政府は昨秋の金融危機以後、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の約7割の株式を握り、事実上国有化している。ロイズの国有化はこれに続くものだ。
 報道によると、ロイズは、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産から生じる追加損失を政府に肩代わりしてもらう代わりに、政府の出資増を受け入れるという。
 ロイズは、経営難に陥った大手HBOSを救済合併しており、その際の公的資本注入で英政府はすでに約4割の株式を保有していた。ただ、ロイズ側は政府の管理下に入ることを嫌って、半数を超える政府出資には難色を示していた。
 しかし、傘下のHBOSの08年12月期決算の純損益が75億ポンド(約1兆円)の巨額赤字に陥り、今後も多額の損失発生が避けられず、不良資産への政府保証が不可欠と判断したものとみられる。英政府はすでにRBSの不良資産3250億ポンド(約45兆円)分に対しても損失の肩代わりを約束している。 》

▼英銀ロイズが実質国有化 不良資産36兆円に政府保証
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090307AT2M0702207032009.html
《経営再建中の英大手銀ロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来発生する損失の大半を英政府が肩代わりする資産保証制度の適用を申請すると発表した。
 保証料として発行する株式の引き受けなどで英政府の株式保有比率は現在の43%から最大75%まで高まり、実質国有化となる。損失拡大リスクを減らすと同時に公的資金の投入で「自己資本を増強し、景気が一段と悪化しても乗り越えられるようにする」(ダニエル最高経営責任者)狙い。》

▼日米欧金融機関、24日に首脳会合 三菱UFJから畔柳氏
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090307AT2C0601X06032009.html
《日米欧の大手民間金融機関の最高経営責任者(CEO)らは24日、ロンドンで会合を開く。4月2日にロンドンで開催する20カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)を控え、英国政府が開催を呼びかけた。
 日本からは三菱UFJフィナンシャル・グループの畔柳信雄社長が出席する予定。金融機関に巨額損失が発生した反省を踏まえつつ、G20の中心議題となる見通しの金融機関への監視・規制の強化策のあり方などについて、民間側として意見交換する。》

▼欧州・英、0.5%利下げ 英は量的緩和も導入
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090306AT2M0504V05032009.html
イングランド銀行(英中銀)と欧州中央銀行(ECB)は5日、いずれも政策金利の0.5%引き下げを決定した。さらに英中銀は国債などの購入を通じて市場に資金を長期間、大量供給する量的緩和策の導入を決めた。信用収縮を和らげることで、景気悪化に歯止めをかける狙いだ。日米を含めた主要中銀の政策金利は歴史的な低水準となる。
 利下げ後の政策金利は英国が年0.5%、ユーロ圏が年1.5%。英中銀は即時、ECBは11日から実施する。いずれもそれぞれの中央銀行が設立されて以来最低の水準だ。》

▼欧州で金融緩和加速 背水の陣、未到領域に
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090306AT2M0504R05032009.html
イングランド銀行(英中銀)と欧州中央銀行(ECB)の政策金利は5日の利下げでいずれも設立以来最低となった。欧州景気が低迷するなかで、経済を下支えするため金融政策は未到の領域に入る。特に英中銀は金融市場への資金供給量を長期間拡大する新たな金融緩和策の導入を決めた。英中銀は昨年秋以降の大幅な利下げで政策金利がゼロに近づいてきたため、量的緩和という非伝統的な政策に踏み出す。
 量的緩和策は2001年から06年にかけて日銀も実施したことがある。英中銀は金融システムの弱体化で「利下げが(企業や個人への)融資を増やす効果が損なわれた」(キング総裁)と判断。金融市場で国債などを大規模に購入することで市場に大量の資金をあふれさせる新政策を導入する。定期的に新政策の効果を評価し、最大1500億ポンドまで買い取り規模を拡大する可能性もある。》

▼焦点:英中銀の量的緩和策に成功の保証なし、利下げは打ち止め
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36850920090306
イングランド銀行にとって、量的緩和策は未踏の領域だ。
 2000年代初頭、世界の主要銀行として初めて日銀がこの政策を採用した。しかし、銀行システムの不良債務開示が阻まれるという根深い問題に直面し、功を奏すまでに時間を要した。
 エコノミストらは、英国の銀行は損失に関してより率直な態度をみせている、と楽観しているものの、銀行が中銀資金をバランスシートのギアリング(自己資本他人資本の比率)削減に使用する可能性が引き続き大きなリスクとして存在する。ギアリング削減は、銀行をより健全にするものの、経済需要の刺激には何ら役立つものではない。
 これには、英大手行に対し、慎重かつ適度な融資を促すため、政府が同時平行的に打ち出す諸政策に負う部分が大きいだろう。
 政府はすでに、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドロイズ・バンキング・グループノーザン・ロックなどの銀行の支配株を保有するが、量的緩和策の実施は口で言うほど簡単ではない。
 中銀は政策の成功の判断材料として、社債市場のアクティビティー増加やリスクスプレッドの縮小、ならびにマネーサプライM4の伸びを用いる可能性がある。
 中長期的には、中銀がインフレ率を再び目標の2%に押し上げるとの市場の信頼を維持する必要がある。中銀は今後2年間のインフレ率をわずか0.5%と予想している。
 インフレ押し上げへの期待が維持できない場合、将来の物価下落を予想して消費者と企業が支出を控える日本型のデフレ・スパイラルを招くリスクがある。》

▼EUはかつてないような状況に直面=欧州委員長
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-36856720090306
欧州委員会バローゾ委員長は6日、欧州連合(EU)は、経済危機の影響でかつてないような状況に直面していると述べた。
 信用の流れを元の状態に戻すために、異なったレベルで取り組む必要があるとの見解を示した。
 同委員長は、EUの経済は2009年に2%縮小するとの見通しを示した。また、景気回復は欧州委員会にとり最大の課題で、景気支援に向け今年と来年の支出を拡大させている、と述べた。
 さらに「危機を解決するには時間がかかる。深刻な危機だが解決できる」と語った。》

▼ジレンマ抱える欧州経済 東欧と西欧に「新たなカーテン」の危機
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090307/erp0903071941009-n1.htm
《米国の金融危機に端を発した世界的な景気悪化が欧州を揺さぶっている。1986年のビッグバンによる金融自由化でよみがえった英国は疲弊し、輸出王国・ドイツは経済成長率が戦後最悪に陥った。英国流の自由化路線で発展したアイスランドアイルランドに加え、東欧諸国も危機に直面し欧州連合(EU)に支援を求めている。これに対し、余力のないフランスなど主要国は支援を渋るが、東欧経済が傾けばその余波は西欧を直撃するだけに、欧州の苦悩は深い。
 「謝罪する以外にできることは何もない…」。「金融街ティーで最も尊大な男」と評されてきた人物が2月10日、英下院財務委員会で初めておわびの言葉を口にした。公的資金の注入を受けた英大手銀、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の前最高経営責任者、グッドウィン氏(50)だ。
 氏がRBSに入行したのは1998年。2年後、英大手銀行への敵対的買収を成功させ、地方銀行のRBSをトップバンクに仲間入りさせた。2007年10月には、RBSなど3行連合がオランダ大手銀ABNアムロを買収。氏の年間報酬は約400万ポンド(約5億4700万円)に達した。
 ビッグバン以降、英国が推し進めた金融自由化の申し子のようなグッドウィン氏。しかし、ABNアムロの資産には、米低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の“毒”が充満していたのだ。
 昨秋の米証券リーマン・ブラザースの破(は)綻(たん)を機に、RBSの経営は悪化。昨年の最終損失は約241億ポンド(約3兆3000億円)と英企業史上最悪の赤字に陥った。株価は98%もの大暴落を記録、グッドウィン氏は辞任に追い込まれたのである。
 英国流の自由放任主義を採用し、国際的な金融自由化の波に乗った欧州の小国があった。人口約32万のアイスランドだ。
 だが、世界的な金融バブルの崩壊で「世紀のツナミ(津波)」(米連邦準備制度理事会グリーンスパン前議長)にアッという間に飲み込まれてしまった。国内銀行はそれまでの海外拡大路線が裏目に出て、総負債が国内総生産(GDP)の10倍に膨れ上がり、金融システムが崩壊した。
 1990年代以降、外資を積極導入し、情報技術(IT)産業を中心に「ケルトの虎」と呼ばれる成長を実現したアイルランドも、危機のただ中にある。
 頼みの外資が引き揚げてしまい、開発と不動産バブルに踊った国内銀行の総負債は、GDPの「9倍」に上るといううわさも。アイルランドアイスランドの違いは「R」(ル)と「C」(ス)だけだ−とメディアは両国経済の深刻ぶりを書き立てている。》