西松建設を巡る疑惑 まとめ Vol.37

岡田克也氏:西松事件の小沢事務所関与指摘「選挙に影響」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090621k0000m010057000c.html
民主党岡田克也幹事長は20日、西松建設の違法献金事件の初公判で、同党の小沢一郎代表代行の事務所による談合への関与が指摘されたことについて、「検察の主張が一方的に述べられたので(衆院選などに)影響があることは否めない」と述べた。山形市内で記者団に語った。
 また、自民党町村信孝官房長官は20日、札幌市内での講演で、「政治とカネの話はもっと厳しく民主党と小沢氏本人に説明責任を求めていく」と述べ、「政治とカネ」の問題が衆院選の争点になるとの認識を示した。》

▼西松公判「衆院選へ試練」=民主の岡田幹事長
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009062000235
民主党岡田克也幹事長は20日、山形市で記者団に対し、西松建設の違法献金事件の公判で、同党の小沢一郎代表代行の事務所による談合への関与が指摘されたことについて「検察の主張が一方的に述べられたので(衆院選などに)影響があることは否めない。そういう試練をしっかり乗り越えていかなければならない」と語った。》

衆院選、政治とカネが争点=自民・町村氏
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009062000228
自民党町村信孝官房長官は20日午後、札幌市で講演し、西松建設による違法献金事件の公判に関連し「政治とカネ」の問題は衆院選の争点になるとの認識を示した。また、外交・安全保障政策や教育問題についても、民主党との違いを明確にしていくべきだとの考えを強調した。
 町村氏は「政治とカネの話は、もっと厳しく民主党と(代表代行の)小沢氏本人に説明責任を求めていく」と指摘。また、民主党が打ち出した企業献金の3年後の全廃方針にも触れ、「こういう論理のすり替えはひどい。自分たちが法律違反を犯した共連れに全部の政党を巻き込み、企業献金は駄目だと言っている」と批判した。》

▼問われる民主と小沢氏
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-20/2009062002_04_0.html
西松建設違法献金事件の東京地裁初公判(19日)で被告の国沢幹雄前社長は、小沢一郎民主党前代表側への違法献金や「天の声」にもとづく談合による公共事業受注の事実について「間違いありません」と全面的に認めました。これにより民主党と小沢氏の対応が問われることになりますが、同日午後、衆院本会議場を後にした小沢氏は、記者団の問いかけに答えることなく、振り切るように足早に去っていきました。
 これまで民主党は、「一点もやましいところはない」という小沢氏を一貫して全面的に擁護。小沢氏は世論の批判を前に党代表を辞任しましたが、同事件での引責辞任ではなく、「挙党一致のため」の辞任だと強弁してきました。
 新代表となった鳩山由紀夫氏も、疑惑解明にさえ取り組まないまま、小沢氏を筆頭代表代行という要職に据える無責任な対応をとっています。同党が「党外」に設けた「第三者委員会」も、小沢氏の「潔白」を擁護する報告書を出すにとどまっています。
 初公判で明らかにされた事実を記者会見で示された岡田克也幹事長は、起訴された小沢氏の公設秘書の裁判とは「違う裁判」であり、「党としてのコメントはない」「検察側の一方的な主張だ」などと答えました。
 しかし、違法献金を行った西松側の被告が「天の声」を含む検察側の起訴事実を認めた以上、民主党と小沢氏には、疑惑についての徹底した解明と明確な説明を行う道義的責任がいっそう強く突きつけられたことになります。
 この責任を果たさずして、「3年後の企業・団体献金禁止」などをいくら掲げても、「政治とカネ」の問題で「きちんとした姿勢を国民の前で示している」(菅直人代表代行、18日の記者会見)などと胸を張ることは到底できないはずです。》

▼小沢事務所が「天の声」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-20/2009062001_01_1.html
《西松、東北で122億円受注 前社長初公判 秘書「献金の実態認識」 検察指摘
 準大手ゼネコン「西松建設」による小沢一郎民主党前代表の政治団体への違法献金事件で、政治資金規正法違反などの罪に問われた同社前社長国沢幹雄被告(70)らの初公判が19日、東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれました。同被告らは「間違いありません」と起訴事実を認めました。公判では、小沢氏側が違法献金を要求し、その見返りに公共工事を割り振っていた実態が明らかになりました。
 検察側は冒頭陳述で、1980年代半ば以降、岩手、秋田両県の公共工事では、受注業者に関して小沢事務所の影響力が大きくなったと指摘。談合でゼネコンが本命業者を決定する際に影響力を発揮して「天の声」を出していたことを明らかにしました。
 西松建設を含む各ゼネコンは、「天の声」を得るため小沢事務所の要請で名前を隠して多額の献金を行っていたといいます。
 検察側は、西松建設が小沢氏側に献金を行うようになった経緯についても詳述。同社は95年、小沢事務所の要求に応じ、同社名義で約519万円、ダミー(隠れみの)政治団体名義で500万円など計約1319万円を寄付。97年には、毎年2500万円を寄付することで合意しました。
 小沢事務所が、どの名義でいくら寄付を受けるかの割り振り一覧表を示し、小沢氏側の各政治団体名義の請求書にもとづいて振り込みが行われていたことも明らかにしました。
 検察側は、小沢氏の公設第1秘書大久保隆規被告(48)が「ダミー団体からの献金について、実態が西松だと知っていた」と認める供述調書も提出しました。
 西松建設は、96〜03年にかけ岩手、秋田両県で、5件で小沢事務所の「天の声」を得て、そのうち4件を共同企業体(JV)で受注。受注額は122億7000万円にのぼりました。
 検察側は論告で、小沢氏側への献金額が2億円を超え、うち1億2900万円がダミー献金だったことを指摘。「政治資金の透明性を確保し、政治腐敗を防止するという政治資金規正法の趣旨・目的を踏みにじる極めて悪質な犯行である」とのべました。 裁判は即日結審し、検察は国沢被告に禁固1年6カ月を求刑しました。

民主自体に説明責任 こくた氏指摘
 日本共産党の、こくた恵二国対委員長は19日、西松建設前社長・国沢幹雄被告の初公判について記者団に問われ、「民主党前代表の小沢氏本人だけでなく、民主党自体の説明責任が問われる」と述べました。
 こくた氏は、検察の冒頭陳述で、東北地方の公共事業の業者選定に小沢事務所の意向が決定的影響力をもつ「天の声」とされたこと、西松建設は小沢氏側の「天の声」を得るため巨額の献金をしたこと、大久保秘書自身が「天の声」を発したことなどが指摘されたことは、「きわめて重大な問題だ」と指摘。民主党が同事件を、「小沢氏個人の問題で、党の問題ではない」との立場をとっていることについて、「民主党は小沢氏をかばいつづけてきた、政党としての責任が鋭く問われている。党内で自ら調査し回答することから逃げることは許されない」と述べました。
 また、「関係者を呼び、国会としての真相を究明することがいよいよ必要だ。国会の責務はきわめて大きい」と述べました。》

▼「西松で結構です」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-20/2009062015_01_1.html
《受注 小沢事務所が了承 仕切り役 「天の声」を電話で確認 違法献金初公判
「小沢事務所が本命の業者と了解した企業を本命にするしかなかった。意向に逆らえなかった」――。19日の西松建設前社長、国沢幹雄被告らの初公判では、小沢一郎民主党前代表側の公共事業をめぐる「天の声」が生々しく語られました。リアルな実態からは、多額の政治献金と公共事業の受注という疑惑の線が結びつきました。

岩手・秋田で影響
 検察側が読み上げた大手ゼネコン「鹿島」の東北支店の元幹部の参考人調書。鹿島は長年、東北地方で談合の仕切り役でした。
 鹿島の元社員は「入札公告が出る前の公共事業について、西松建設の担当者が『小沢事務所に了解いただいた』と報告するのを聞いた。電話で(公設秘書の)大久保(隆規)被告に『西松が本命でよろしいか』と聞いたら、『そういうことで結構です』という返事だった」とのべています。
 こうした「天の声」を背景に談合が成立。西松建設は「盛岡大迫東和線トンネル築造工事」など、4件で総額122億7000万円(落札額)の受注に成功したとされます。

仕組みは―
 「天の声」を出す仕組みは、こうです。
 (1)受注を希望するゼネコンが、小沢事務所に「天の声」を出してほしい旨、陳情する(2)小沢事務所から了承が得られた場合には、談合の仕切り役に連絡(3)仕切り役は、「天の声」が本物か、小沢事務所に電話で確認する――というもの。
 検察側の冒頭陳述などによると、岩手県内の公共事業で小沢氏側が「天の声」を出すようになったのは遅くとも1980年ごろから。97年ころからは、秋田県の一部でも「天の声」を出すようになったとしています。

選挙に協力
 「天の声」を得ようと、西松建設を含むゼネコン各社は、小沢氏の選挙にこぞって協力。検察が小沢氏の資金管理団体陸山会」が入居するマンションから押収したパソコンからは、ゼネコン各社から小沢氏側に提供された献金やパーティー券代が、ゼネコンごとに区分されたデータがあったといいます。
 国沢被告の供述でも小沢氏側への資金提供について、「小沢事務所の意向に従って、受注業者を決めているため、小沢事務所の歓心を買い、本命にしていただく御礼」とのべています。
 本紙の取材に応じた西松建設元幹部も「献金は小沢事務所に排除されないためなんです。そうされないために業界は小沢さんに協力したんですよ」と証言しました。
 今回の公判で、カネの力で公共事業をゆがめる癒着ぶりがいっそう浮き彫りになりました。自民党二階俊博経済産業相はじめ、西松マネーを受け取った政治家の疑惑の徹底した解明が求められます。》

民主党は説明責任果たせ
http://www.komei.or.jp/news/2009/0620/14852.html
《冒頭陳述で検察側 小沢氏側が談合組織に「天の声」
西松違法献金事件初公判
 政治家と企業の癒着の根深さをまざまざと見せつけた。
 民主党小沢一郎代表代行が代表辞任に追い込まれた西松建設による違法献金事件の初公判で、東北地方の公共工事受注業者の選定に決定的な影響力を持っていた小沢氏側の主導によって、西松建設が総額2億円を超える巨額な献金を続けていた構図が明らかにされたからだ。
 検察側の冒頭陳述によれば、小沢氏側は特定企業から多額の献金を受け取っているとの批判を避けるために、西松建設に対して献金名義を分散するよう要求するなど、積極的な働き掛けを行っていたという。
 なぜ、そこまでして巨額の献金を受ける必要があったのか。小沢氏をはじめ民主党には、国民が納得できる明快な説明を改めて強く求めたい。
 今回の事件は、西松建設が小沢氏側への企業献金をダミーの政治団体からの献金と偽り、政治資金規正法違反に問われたものだ。19日に行われた西松建設前社長・国沢幹雄被告の初公判では、同被告がこの起訴内容を全面的に認めた。
 小沢氏や民主党はこれまで、十分な説明責任を果たさないばかりか、的外れな検察批判を繰り返すなど、不誠実極まりない態度を取り続けてきた。
 小沢氏は「一点もやましいことはない」と開き直り、「徹底的に説明責任を果たす」(鳩山由紀夫代表)として立ち上げたはずの第三者委員会でも、「一方的に小沢氏の側に立った報告書」(読売新聞)をまとめ、国民が率直に感じている「なぜ巨額の献金を受けられたのか」「それを何に使ったのか」などの疑問に答えないまま幕引きを意図していると見られている。
 しかし、検察側の冒頭陳述では、小沢氏側が岩手、秋田両県の公共工事で、東北地方の談合組織に「天の声」を出していたと指摘。公判に提出された供述調書から、小沢氏の公設秘書の大久保隆規被告が工事受注への力添えを要請されたのに対し、「よし、わかった。西松にしてやる」と答えた生々しいやりとりも紹介された。
 さらに、大久保被告自身が、ダミー団体名義の献金が実質的に西松建設からの企業献金だと知っていたと認める供述調書も読み上げられた。
 小沢氏側による西松建設への関与が、これほど具体的に示された以上、民主党もこれまでと同様にほおかむりを続けるわけにはいかないだろう。

問われる政権担当力
 かつて民主党西松事件に対して、「天が民主党に課した試練。本番の総選挙前の最終テスト」(菅直人代表代行)などと言っていた。
 政権政党は特に、何か問題が起こったときの危機管理能力が問われる。次期衆院選での政権交代を掲げる民主党だが、西松事件への対応では、何ら説明責任を果たそうとせず、党としてのガバナンス(統治)のなさをさらけ出した。これまでの対応では「落第点」は間違いない。》

西松事件 民主は自浄能力示せ
http://www.komei.or.jp/news/2009/0620/14854.html
公明党太田昭宏代表は19日、東京都世田谷区内で開かれた党都本部世田谷総支部の街頭演説会と時局講演会に、中島よしお総支部長(都議、都議選予定候補=世田谷区)とともに参加し、都議選大勝利へ絶大な支援を訴えた。
 この中で太田代表は、同日に行われた西松建設違法献金事件の初公判で、検察側が民主党小沢一郎前代表の事務所が公共工事の談合に関与していたと指摘したことについて「当事者自身がそうでないというなら、そうでないと釈明し、政治家である以上、説明責任をしっかり果たすべき」と強調。さらに民主党に対して「国民に向けて説明責任を果たすとともに、自浄能力を示していくべきだ」と強調した。》

西松建設裏金:社説 西松前社長初公判 「天の声」小沢氏説明を
http://mainichi.jp/select/jiken/nishimatuuragane/news/20090620org00m070004000c.html
《岩手・秋田県での公共工事で行われていた談合で小沢事務所の「天の声」を得るために西松建設は多額の献金を行っていた、と検察側は前社長の国沢幹雄被告(70)の初公判で指摘した。なぜ高額の献金をもらい続けたのかという疑問に対し、小沢一郎・前民主党代表は「なんらやましい点はない」と主張してきたが、検察側は小沢事務所が同社に献金の増額を示唆し、また、小沢事務所の「天の声」で同社の共同企業体(JV)が受注した両県の公共工事は122億円に上ると指摘した。小沢前代表から明確な説明を聞きたい。
 検察側によれば、小沢事務所との関係が良くなかった西松建設は両県での公共工事を思うように受注できなかったため、95年ごろ年間300万円程度だった献金を1000万円以上に増額した。95年に政治資金規正法が強化され、同社は社名を出さずに献金するためダミー団体を作り、97年以降は小沢事務所の示唆で献金額を2500万円に増額。どこにいくら振り込むかは小沢氏側から請求書が送られ、また、「多額の献金が社会の耳目を引かないよう、名義をできるだけ分散してほしい」と求められたという。小沢前代表の公設第1秘書の大久保隆規被告(48)は、00年ごろから献金を巡る交渉や「天の声」を出す役割を担い、献金名義や額の割り振り案を記した一覧表を西松側に提示したという。
 検察側の指摘が真実だとすれば、小沢事務所が深く関与した悪質な行為と言わざるを得ない。民主党の第三者委員会は「罰則を適用すべき重大性・悪質性が認められるかなど多くの点に疑念がある」と批判したが、そうした批判自体が軽率だったのではないかと思えてくる。
 一方、大久保被告の弁護側は「検察官の主張は、ゼネコン関係者の一方的な供述に基づくものに過ぎない。具体的に裏付ける証拠は何一つ出されていない」と批判する。総選挙を控えた時期に野党第1党党首を辞任に追い込んだ捜査を疑問視する声は根強い。検察側が批判をはね返すには、大久保被告の公判でさらに事件の全体像や悪質さを具体的に立証する必要があるだろう。
 ともあれ、特定の政治家への多額の企業献金には必ず理由があることを検察側は改めて示した。西松建設二階俊博経済産業相など自民党議員の関係団体にも献金を行っていた。二階派政治団体が同社のダミー団体名義で計838万円のパーティー券代を受領していた問題では、検察審査会二階派団体の会計責任者らを「不起訴不当」としている。多額の献金にどのような理由があったのか、捜査で徹底解明すべきだと改めて指摘しておきたい。》

▼「法務大臣の指揮権」を巡る思考停止からの脱却を
造船疑獄指揮権発動は「検察の威信」を守るための策略だった
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090616/197741/
《「法務大臣の指揮権」をタブー視する考え方は、造船疑獄事件での犬養法務大臣の指揮権発動という「政治の圧力」が「検察の正義」の行く手を阻んだ、という歴史認識に基づくものだが、実は、そこには重大な誤謬がある。元共同通信記者の渡邉文幸氏の著書『指揮権発動』では、当時、法務省刑事局長だった井本台吉氏が事件から40年経って初めて語った証言などを基に、捜査に行き詰まった検察側が「名誉ある撤退」をするために、自ら吉田茂首相に指揮権発動を持ちかけた「策略」だったことが明らかにされている。まさに、戦後検察史の核心を突く迫真のノンフィクションだ。》