西松建設を巡る疑惑 まとめ Vol.35

西松建設献金事件:使途秘匿金26億円 取締役大半退任へ−−内部調査
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090516ddm041040094000c.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)は15日、小沢一郎民主党代表側への違法献金事件などを受けて行った内部調査の報告書を公表した。政治資金規正法で禁じられた政治家個人への企業献金を行うために二つの政治団体を設立したことを明記し、04年度以降の使途秘匿金が総額約26億円に達することを明らかにした。
 石橋直社長(69)は会見で「社会に迷惑をかけ申し訳ない。信頼される会社に生まれ変わるよう努力したい」と謝罪。6月26日の株主総会で自身を含む取締役の大半が退任し、新社長に近藤晴貞取締役(56)が就任することを正式に発表した。今後は政治献金を一切行わない方針という。

 ■違法献金
 法改正により企業献金が禁止された95年、前社長の国沢幹雄被告(70)=当時専務、同法違反などで起訴=がダミー政治団体を利用した献金を画策し、西松OBを代表とする新政治問題研究会を設立した。98年、団体代表が「一つだと目立つ」と進言し未来産業研究会も設立した。
 95〜05年に延べ3128人の社員に支払った特別賞与の総額は11億328万円。このうち2団体に約5億9100万円が流れ、与野党国会議員などに政治献金やパーティー券購入で総額約4億7800万円を支出した。報告書は「発注を得たいというより、受注活動を妨害しないでほしかったと供述する社員もいた」としている。
 献金先と金額の決定は「国沢被告が独断で決定していたと推測される」とし「他の幹部は声を上げず、茶坊主となって違法行為を推進した」と指摘した。

 ■使途秘匿金
 税務当局に対する使途秘匿金は08年度までの5年間で総額約26億円。必要性や金額について国沢被告がほぼ独断で決定し、経理部長が各支店から資金を調達して各部署に渡していた。主に工事現場の地元対策費や民間企業へのリベートに使われたとしている。

 ■裏金作り■
 海外事業を巡り約10年前から裏金作りを実行した。マレーシア、タイ、香港、米国でペーパーカンパニーを利用した架空発注などを行い、5事業で約8億9300万円の裏金を捻出(ねんしゅつ)。うち約3億3300万円が国内に持ち込まれたが、使途は判明しなかった。

 ■西松建設の主な内部調査結果■
 ◇海外を舞台にした裏金作り
 (98年ごろ以降)  =8.9億円
 <内訳>
 使途判明分       4.2億円
 使途不明分(推定)   1.4億円
 国内持ち込み分(推定) 3.3億円

 ◇ダミー2政治団体の収支(95〜06年)
 収入=社員が賞与から支払う会費など 5.9億円
 支出=政治献金、パーティー券購入  4.8億円
 運営経費など            1.1億円

 ◇使途秘匿金(04〜08年度)=26億円》


▼西松・内部調査、違法献金の原資11億円…名目は特別賞与
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090304-527751/news/20090515-OYT1T01035.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)は15日、石橋直社長(69)らが記者会見し、ダミーの政治団体を利用した違法献金や、海外での裏金作りなどに関する内部調査委員会の報告書を公表した。
 政治団体への会費を支払う社員への補填(ほてん)分として、同社が総額11億円もの特別賞与を支出していたことが新たに判明。報告書は、政治資金規正法違反罪などで起訴された前社長の国沢幹雄被告(70)だけでなく、役員や社員らにも責任があると指摘したが、小沢一郎民主党代表をはじめとする政治家側とのやりとりについては、一切、明らかにされなかった。
 この日午後、公表された報告書はA4判で約50ページ。東京証券取引所国土交通省で2回に分けて行われた記者会見で、石橋社長が要約を読み上げた。また、6人の取締役のうち、石橋社長ら5人が取締役を退く人事も公表された。
 「政治団体を設立し、特別賞与を交付して社員名義で寄付させたのは、巧妙に仕組まれた脱法行為」「他に類を見ず、極めて悪質」――。報告書は、西松建設によるダミーの政治団体を使った政治献金の違法性を、厳しい言葉で指摘した。
 報告書によると、同社は政治団体名義で企業献金を続けるため、「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」を設立。成績優秀者の社員へ特別賞与名目で金銭を支給し、これを元に、政治団体に会費を支払わせていた。与野党の国会議員らへの資金提供は計約4億7800万円だったが、特別賞与には、社員が支払う税金や社会保険料も含んでいたため、その総額は約11億円に膨らんでいたという。
 政治団体の存在について、石橋社長は記者会見で、「おぼろげにわかっていながら、容認していた」と明かした。報告書はこうした工作が国沢被告の主導だったとする一方で、「役員、幹部が茶坊主となって、違法行為を阻止するどころか、消極的とはいえ推進していた」と批判。特別賞与を支給されていた社員に関しても、「誰一人反対の意思表示をしなかった。違法行為は全員の責任」と反省を促した。
 しかし、報告書の中には、秘書が規正法違反罪で起訴された小沢代表以外、政治家の名前は登場しなかった。記者会見で、何人の政治家にいくら献金したかに質問が及ぶと、石橋社長は「把握していない」と述べるだけ。献金を受けていた政治家側とどのようなやりとりをしたかについても、「はっきりしたことは分からない」と言葉を濁した。二階俊博経済産業相の関連政治団体の事務所家賃を補填していたとされる問題については、「調査はしたが、(東京地検の)捜査中なのでコメントは差し控える」とした。
 報告書は、外部の弁護士を含む調査委員会が延べ100人以上の会社関係者から聞き取りをしてまとめた。海外で捻出(ねんしゅつ)した裏金は総額約8億9300万円、国税当局に支出を明らかにしなかった使途秘匿金は2008年度までの5年間で約26億円にのぼることも判明した。》

▼「受注のため違法献金」 西松建設、内部調査結果を公表
http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY200905150303.html
《準大手ゼネコンの西松建設は15日、民主党の小沢代表側への違法献金事件などを受けて進めていた内部調査の結果を公表した。工事の受注活動を円滑にするために、ダミー団体を使って政治家側への違法献金をしていたことを認める一方、07年までの約10年間に海外で計約9億円の裏金を作っていたことを明らかにした。
 また、裏金とは別に、国税当局に支出先を明かさずに税務申告した使途秘匿金は08年までの5年間に約26億円に上り、工事の近隣対策費や民間会社へのリベートなどに使われたという。報告書は裏金づくりの経過や役員らの関与について詳細に記述した異例の内容になっている。
 同社は、調査結果を受けて経営責任を明確にするために、6月26日の株主総会で石橋直社長(69)ら代表取締役4人全員が退任し、新たに近藤晴貞取締役(56)が社長に就任する人事も発表した。
 報告書によると、同社は94年の政治資金規正法改正で企業から政治家個人への直接の献金が禁じられたことをきっかけに、社名を出さずにダミーの政治団体の「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」を通じて政治家側に献金。ダミー2団体による献金総額は06年までに約4億8千万円に上ったとしたが、献金先の政治家名にはふれなかった。献金目的は「受注活動を妨害しないでほしかったから」としている。
 裏金については、98年に東南アジアでの工事に関連して裏金を捻出(ねんしゅつ)して以来、米国や香港などで裏金作りを進めた。裏金約9億円のうち約3億3千万円は02〜07年に海外支店の幹部が日本国内に持ち込んだが、内部調査でも使途の大半はわからなかったとしている。 》

西松建設 2団体に11億円負担 政治献金禁止を表明
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009051602000051.html
《準大手ゼネコン西松建設は十五日、政界に巨額の献金をしていた二つの政治団体の資金として、同社が総額約十一億五千万円を負担したとの調査報告書を公表した。小沢一郎民主党代表側への献金をはじめ、自民党国会議員側への献金など具体的な政界工作への言及はなかった。石橋直社長(69)は記者会見で、政治献金の禁止を明らかにした。
 報告書によると、前社長国沢幹雄被告(70)=政治資金規正法違反罪などで起訴=が二つの政治団体新政治問題研究会」「未来産業研究会」の設立を主導し、献金先などを決定した。
 社員から会費を集め、会社が特別賞与で補てんする仕組みも国沢被告が考案。特別賞与を支給された社員は計三百五十九人に上り、二つの団体の資金として約十一億五千万円を負担していた。
 政界への献金総額は約四億八千万円。しかし、国沢被告ら献金システムに直接かかわった幹部への聞き取りができないうえ、政治資金収支報告書が廃棄されていることなどから、献金した政治家や個々の献金額は報告書には明記しなかった。
 報告書は「一部役員が独断専行で会社を支配し、本来そのような暴挙を制止すべき役員や幹部らが茶坊主となって、消極的とはいえ推進していた」と社の体質を批判した。
 国税当局に支出先を明かさなかった使途秘匿金は、過去五年間で約二十六億円。工事のクレームへの対策費や民間工事の発注者へのリベートなどに使われたとしている。》

西松建設、4億7000万円の献金認める 報告書公表「前社長が主導」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090515AT1G1502M15052009.html
西松建設は15日、同社の巨額献金事件などに関する内部調査結果を公表した。政界側への献金総額は約4億7000万円に上り、脱法的な政治団体の設立による政治献金と認めた。さらに、海外でつくった裏金は約8億9000万円と判明。前社長、国沢幹雄被告(70)=政治資金規正法違反罪などで起訴=が不正行為を主導していたと指摘し、同社の法令順守の欠如が改めて浮き彫りになった。
 報告書によると、1994年の政治資金規正法改正で政治家個人への企業献金の禁止を受け、国沢前社長が2つのダミーの政治団体の設立を画策。95年に「新政治問題研究会」、99年に「未来産業研究会」を設立した。
 同社社員が個人寄付を装ってダミー団体に献金。同社は毎年、社員に「特別賞与加算金」名目で支給し、献金分を穴埋めしていた。》

▼ダミー献金は4億8千万円=国沢前社長の主導明記−告訴も検討・西松建設
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&rel=j7&k=2009051500804
西松建設は15日、違法献金や海外からの裏金持ち込み事件に関する内部調査委員会の調査結果を公表し、2つのダミー政治団体を通じた政治家側への献金総額は約4億8000万円だったことを明らかにした。前社長国沢幹雄被告(70)=政治資金規正法違反罪などで起訴=が仕組みをつくり、主導していたことも明記した。
 石橋直社長(69)は同日、東京都内で会見し、「世間の皆さまにご迷惑をお掛けした」と謝罪。代表権のない会長に退く意向を明らかにした。国沢被告を特別背任容疑などで告訴することも検討するという。》

献金先・額 西松が決定 内部調査を公表
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-16/2009051601_03_1.html
《規正法改定契機にダミー団体を設立
 準大手ゼネコン「西松建設」の石橋直社長は十五日、都内で記者会見し、違法献金事件などに関する同社の内部調査結果を公表しました。報告書から、巧妙な企業献金隠しの手口や意図が生々しく浮かび上がっています。
 同社が公表した五十数ページにわたる調査報告書は、二つのダミー(隠れみの)政治団体新政治問題研究会」「未来産業研究会」の献金が、西松からの企業献金そのものだったことを認めました。
 民主党小沢一郎代表や二階俊博経済産業相ら政治家側への献金総額は、本紙が指摘していた通り約四億八千万円だったこともあきらかにしました。
 こうした献金について報告書は「政治団体がどの議員関係にいくら献金するかは、政治団体ではなく、当社が決定した」としています。
 ダミー政治団体設立のきっかけは、一九九五年の政治資金規正法の改正でした。
 「企業から政治家個人への献金が禁じられたことから、当社は、一九九五年八月下旬ころ、政治団体を設立した上、政治団体からの献金を装って政治家個人の政治団体等に献金することを画策した」。明らかな企業献金隠しでした。
 同社は九五年に「新政治問題研究会」を設立。その後、「資金を分散し、目立たないようにしたい」という理由から九九年に「未来産業研究会」を設立しました。「新政治問題研究会」の設立の準備には、部長クラスの社員が選ばれ、推進役となりました。
 両団体の収入源は、会員となった社員による「会費」や資金集めパーティーの収入でした。「会費」を払った社員には会社が「特別賞与」を払って、「会費」を補てん。パーティーについても「実際にはパーティーとしての実体は存在せず、当社の社員数名を呼び集め、簡単な昼食を取ったのみ」といったものでした。
 両団体による政治資金の「原資は実質的に当社によって支払われたもの」として、その額は十一億円を超えています。
 〇六年に両団体は「収支報告書がインターネットで公開されるようになり、情報公開が進むと、問題を追及される恐れがあると危機感」を抱いたことから、相次いで解散したとしています。
 また、約十年前から、海外工事で約九億円の裏金をねん出。うち三億三千三百万円が国内に持ち込まれましたが、使途先は不明としています。
 税務当局に対する使途秘匿金が〇八年度までの五年間で約二十六億円にのぼることも指摘しています。》