西松建設を巡る疑惑 まとめ

西松建設、裏金20億円 東京地検が本格捜査へ
http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY200901090338.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が過去5年間に国内外で総額20億円を超える裏金を捻出(ねんしゅつ)していたことが関係者の話でわかった。海外の銀行口座にプールしていた裏金のうち約1億円を不正に日本に持ち込んだ疑いが持たれている同社は、国内でも全国の支店を使って裏金作りをしていたという。
 東京地検特捜部は、海外からの約1億円について、同社の元役員級を含む元幹部らが関与した疑いが強まったとして外国為替及び外国貿易法外為法)違反容疑で本格的な捜査に乗り出す方針を固め、裏金の全容解明を目指す模様だ。
 西松建設総務部はこれまでの取材に「捜査中なのでコメントを控える」としている。
 関係者によると、裏金20億円超のうち国内分が10億円以上、海外分が約10億円という。国内分は、全国の支店が下請け業者から工事費を還流させたり、架空経費を計上したりする手口を使っていたとされ、15年以上前から続いていたという。
 海外分は、東南アジアで請け負った工事費を実際より高く見せかけて経理処理するなどの手法で捻出。香港の銀行に開いたペーパー会社名義の口座や貸金庫に集めていたとされる。これを管理し、約1億円を国内に不正に持ち込んだとされる元海外事業部副事業部長の高原和彦被告(63)=業務上横領罪で起訴=はこれまでの特捜部の調べに対し、「裏金作りは本社の指示だった」と供述したという。
 関係者によると、西松建設が海外で裏金作りを始めたのは、同社も関与したゼネコン汚職事件が摘発された93年以降で、裏金が発覚しないようにする狙いがあったという。
 一方、同社の取引業者らによると、国内外で作られた裏金は国内の工事受注に伴う地元対策費などに充てられたほか、一部は東南アジアでの工事を受注するための活動費に充てられた疑いがある。
 特捜部は昨年11月、西松建設本社や社長宅のほか、同社OBが代表を務めていた政治団体の関係先など数十カ所を外為法違反容疑で捜索。関係者の聴取を進めている。》

西松建設、1億円超の見せかけ融資か 原発施設に絡み
http://www.asahi.com/national/update/1231/TKY200812310162.html
《ゼネコン準大手「西松建設」の関連会社から福島県の建設会社に融資された1億数千万円が、その後、金利を含めて全く返済されず、事実上の資金提供だった疑いがあることが関係者の話でわかった。建設会社は原子力発電所関連工事の地元対策に絡むゼネコン側からの資金の受け皿だったとされ、今回の資金の流れを把握した東京地検特捜部は建設会社を捜索、関係者からの事情聴取を進めている。
 特捜部は、西松建設の東北支店幹部が、別の関係会社を絡ませて青森県原発関連施設の立地工作に関与していたことも把握。西松側から建設会社への不明朗な資金が、裏金として東北地方での原発関連施設をめぐる西松建設の受注工作費などに使われた疑いがあるとみて全容解明を目指す方針だ。
 西松建設総務部はこれまでの朝日新聞の取材に「捜査中なのでコメントを控えたい」としている。
 電力業界関係者によると、原発関連施設を建設する場合には、立地・建設に向けた地元の利害調整が難しく、ゼネコン側には早い段階から電力会社側に貢献することで、その後の建設工事の受注を有利にする狙いがあるという。
 特捜部は、西松建設が海外で作った裏金約1億円の一部が流れた疑いで、福島県の建設会社を捜索。この調べで、見せかけ融資の疑いを把握したとみられる。
 関係者によると、建設会社は02年ごろ、西松建設の関連会社から数回にわけて計1億数千万円の融資を受けた。しかし、返済せずに、借入残高の確認書を毎年交わす不自然な取引を続けているという。それまで両社はほとんど取引がなかったとされる。
 一方、西松建設原発関連施設をめぐっては、支店幹部が00年ごろ、当時、青森県むつ市に計画されていた使用済み核燃料中間貯蔵施設(現在、準備工事中)の土地の先行取得に関与していたという。この土地は、当時の市長(故人)の後援企業が西松建設OBが経営する会社から5千万円の融資を受けて取得したが、その後、支店幹部の要請で所有権は都内の建築資材会社に移されていた。
 関係者によると、支店幹部は、当時はまだ表面化していなかった貯蔵施設の建設計画を熟知していたという。》

西松建設、脱法献金の疑い 議員指定しOB2団体利用
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008123101000461.html
《準大手ゼネコン西松建設(東京)のOB2人が代表をしていた2つの政治団体が2006年までの12年間に、与野党首脳らへの献金やパーティー券購入などで計約4億8000万円を支出していたことが31日、関係者の話などで分かった。
 西松建設の社員から会費を集め、同社指定の議員側に献金する「会社ぐるみの政治献金」(関係者)が多かったとされ、政治家個人への企業献金を禁じた政治資金規正法に抵触する恐れがある脱法行為の疑いが強い。
 元幹部の外為法違反容疑事件を捜査中の東京地検特捜部もこの事実を把握、同社の経理実態などを調べているもようだ。
 西松建設関係者の話や政治資金収支報告書によると、2団体は同社の元土木営業本部営業管理部長2人が代表を務めた新政治問題研究会(1995年設立)と未来産業研究会(99年設立)。
 都内の同じビルの1室に置かれ、2006年末に解散したが、計約5億1500万円の会費を集め、与野党幹部ら国会議員側への献金やパーティー券の購入で計約4億8000万円を支出していた。
 04−06年の主な献金先は、小沢一郎民主党代表や森喜朗元首相らの資金管理団体自民党二階派政治団体など。
 課長級以上の社員のうち賞与が比較的高い成績優秀者を西松建設人事部から知らされ、1口6万円の会費納入を依頼。同意した社員に対し、年2回ある賞与の時期に請求したという。》

西松建設が違法献金か、政治団体隠れみのに4億8千万円
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081231-OYT1T00021.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が、OBを代表にした政治団体を隠れみのに使い、国会議員などへの企業献金を続けていたことがわかった。
 同社は社員を政治団体の会員にして「会費」を納めさせ、その資金を政治団体から議員側に献金させる一方、社員に対しては賞与に上乗せして会費分を補填(ほてん)。仮装献金額は4億円を超え、献金先は同社が指定していた。海外で作った裏金を持ち込んだとされる事件で同社を捜査中の東京地検特捜部も事実を把握。他人名義での献金や政党以外への企業献金を原則禁止している政治資金規正法に抵触する疑いが強い。
 献金の隠れみのに使われていた政治団体は、「新政治問題研究会」(1995年設立)と「未来産業研究会」(99年設立)。同社の元幹部2人がそれぞれ代表を務め、2006年末に解散した。
 政治資金収支報告書によると、会費収入は設立から解散までで計約5億1500万円。しかし、同社関係者らによると、会費は社員が支払うものの、会社が年2回の賞与に「特別加算金」などとして上乗せし負担していた。会員となる社員は、課長級以上の成績優秀者から、人事部と政治団体の代表者が相談して選抜。会費は1口6万円などで、家族も会員にして4、5口納める社員もいたが、すべて同社が負担していたという。
 また、両団体は会費収入以外に「新世紀政経懇談会」などと称するパーティーを開き、計約7310万円の収入を得ていたと収支報告書に記載していた。しかし、こうした催しの参加者は少人数で、同社が両団体に支払っていた。
 両団体の収入に関する記載はほとんどが虚偽だった可能性が強く、同社関係者によると、複数の幹部が特捜部の事情聴取に、こうした仮装工作や両団体が同社のダミーだったことを認めているという。
 両団体名義で行われた与野党の国会議員などへの献金やパーティー券購入などの総額は、計約4億7800万円に上った。このうち04〜06年には、国会議員6人の資金管理団体に計2600万円を献金しており、多い順で民主党の小沢代表(1400万円)、自民党尾身幸次財務相(400万円)、森喜朗元首相(300万円)などだった。
 政治資金規正法は、他人名義での献金を禁じており、違反すると3年以下の禁固などの罰則がある。また、政治家の資金管理団体への企業献金も2000年以降、禁じられ、禁固1年以下などの罰則がある。
 両団体からの献金について、小沢代表の事務所は「法律に基づいて適正に受領し、収支報告書に記載している」、森氏の代理人弁護士は「法令に基づき、適正に報告している」とし、西松建設からは30日までに回答がなかった。》

西松建設 社員の寄付装い献金? 亀井静氏後援会へ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008123002000058.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が一九九七年から二〇〇一年にかけて、亀井静香国民新党代表代行の資金管理団体亀井静香後援会」に、個人献金を装った実質的な企業献金をしていた疑いのあることが分かった。収支報告書に名前が記載された幹部社員らの多くは、本紙の取材に、自らが献金した事実を否定している。
 西松建設をめぐっては、OBが設立した政治団体を抜け道に、十年間で約四億八千万円の献金をしていた疑いが浮上しており、新たな脱法献金疑惑が明らかになった。
 官報に記載された同後援会の収支報告書の要旨によると、献金したとされるのは西松建設本社の総務部、経営企画部、営業管理部などの部長・副部長をはじめ、関東支店、中国支店などの副支店長や次長ら。ほとんどが一人十二万円で、九七年と九九−〇一年は毎年二十五人が寄付。五年間の総額は約千三百万円に上る。
 寄付者として名前が記載されている本社の元部長は、本紙の取材に「私がそんな金を出すはずがない。献金したら覚えているはず」と否定。別の元部長も「初めて聞いた。会社が勝手に名前を使ったのでは」と証言した。他の幹部社員も多くが献金の事実を否定するか、「記憶にない」と回答している。
 亀井氏は九六−九七年に建設相、九九−〇一年に自民党政調会長を務めた。亀井氏の事務所は「十年近く前のことなので確認のしようがない」とコメントしている。西松建設総務部は「現時点では何もコメントできない」としている。
 資金管理団体に対する企業献金は、二〇〇〇年以降禁止された。神戸学院大法科大学院の上脇博之教授は「個人名を使って事実上の企業献金をしていたならば違法行為だ。受け取った側にも虚偽記載の疑いがある」と指摘している。》

西松建設ダミー会社で用地買収か 原発関連施設の候補地周辺
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122901000501.html
青森県むつ市で計画中の使用済み核燃料中間貯蔵施設建設をめぐり、準大手ゼネコン西松建設(東京)が2001年、実体のない契約を介在させるなどして、候補地周辺を別の企業に買収させていた疑いの強いことが29日、関係者の証言などで分かった。
 施設工事を受注するための事実上の先行取得とみられ、西松建設元幹部の外為法違反容疑で東京地検特捜部の家宅捜索を受けた別の建設会社の元役員も、“ダミー会社”を使ったこの買収計画に関与。原発関連施設の利権に絡む不透明な取引の一端が浮かび上がった。
 西松建設総務部は「調査中であり、コメントを控える」としている。
 複数の関係者や内部資料によると、西松建設の東北支店幹部が元建設会社役員や元参院議員秘書と協議。秘書の知人が役員だった東京の建築資材販売会社が01年1月、地元企業のむつ市の所有地(約4ヘクタール)を購入した。
 この際、西松建設OBが役員を務める東京の不動産会社が、資材販売会社に約5000万円を融資したように装って購入費を負担する形をとった。西松側は「先行投資のため」と説明したという。
 西松側は、取引先の建設会社(横浜市)に架空の建材費を請求するよう資材販売会社の役員に指示。請求すると250万円が振り込まれ、この役員は「協力費だったと思う」と話している。》

西松建設OBが団体作り多額献金 規制後も“抜け道”
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008122902000113.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)のOB2人が設立した2つの政治団体が、2006年末までの約10年間に、総額計約4億8000万円の政治献金をしていたことが分かった。複数の同社関係者は本紙の取材に「実体は同社がつくった政治団体」と認めている。政治資金規正法改正で政治家個人への企業献金が禁じられたが、同社は“抜け道”を利用した脱法的な献金を続けていた可能性が強い。
 同社については、海外事業で捻出(ねんしゅつ)した裏金1億円を、無届けで国内に持ち込んだ外為法違反の疑いで、東京地検特捜部が捜査を続けている。
 団体は「新政治問題研究会」(新政治研)と「未来産業研究会」(未来研)。西松建設の営業管理部長を務めたOB2人がそれぞれ、1995年と98年に設立。事務所は東京都千代田区内のビルの同室で、2006年末にそろって解散した。
 両団体の政治資金収支報告書や官報によると、新政治研は12年間で約3億5500万円を寄付し、約7100万円分のパーティー券を購入。未来研は99年以降の8年間で、約2900万円を寄付、約2200万円分のパーティー券を買っていた。
 04−06年の主な献金は、小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」へ1400万円、自民党二階派政治団体「新しい波」(二階俊博代表)へ778万円など、与野党首脳や建設族の議員が中心。小沢代表については、岩手県の政党支部にも1700万円を寄付している。
 両団体の収入は会費と、年3回ずつ都内で開いていた政治資金パーティーの2本柱。会員は新政治研が数百−1400人、未来研が100人前後。パーティーでは1回平均200万円近い収入が計上されているが、参加者など実態は不透明だ。
 両団体の代表を務めた西松建設OB2人には文書などで取材を申し込んだが、28日までに応じていない。西松建設総務部は「捜査が続いている現時点では、何もコメントできない」としている。
 小沢代表の事務所は、取材に対し「両団体からの寄付金は収支報告書に記載の通りだが、どのような経緯で献金を開始したのかは当方が知るところではない」と回答。「新しい波」事務所は「パーティー券を購入していただいたのは事実だが、どういう経緯かは記憶にない。代表とも面識がない」としている。
 ■川崎二郎元運輸相の吉田博秘書の話…初めて聞いたことなので分からない。本人とも今日は連絡が取れないので、コメントのしようがない。》

▼政界フィクサーと検察人事
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20081224/181202/
《「東京地検特捜部は21日、政界や電力業界などに幅広い人脈を持ち、フィクサーともいわれる都内の元会社役員が経営に関与していた会社数社を外国為替及び外国貿易法外為法)違反の疑いで捜索した」
 西松建設元役員による業務上横領に絡む裏金疑惑で朝日新聞朝刊がこう伝えたのは11月22日のことだった。匿名ながら「フィクサー」と形容された人物の名は白川司郎。一般にはほとんど知られてはいないが永田町では知らぬ者がいないといわれる人物である。……白川が電力業界へ食い込むきっかけとなったのは40歳の時に設立した「日本安全保障警備」であった。青森県六ヶ所村核燃料サイクル施設の警備を目的に作られた会社であった。 これと並行するように政界への足がかりもつかむ。契機となったのは警察官僚から政界へ転進した亀井静香であった。亀井と白川の実兄とは東大同期生。徒手空拳で政界に進出した亀井を白川の実兄は支え、また弟司郎も実業界の1人として金銭面で全面的に支援をした。こうして白川と亀井との密接な関係が紡がれていった。……ゼネコン利権はその1つ。西松建設と白川との関係は永田町、業界では有名な話だ。……特捜部では西松建設が海外で作り、国内に持ち込んだ裏金の流れを徹底的に洗い出している。当然、連続落札と白川の電力業界への影響力との関係を考えれば、「全くの無関係と思え、と言う方が難しい」(東京地検関係者)
 12月上旬、白川が南米へ出国する直前、白川の東京・高輪にある自宅に引っ越し業者の2.5トン車が横付けされていた。車はあるものの、業者の人間が見当たらないばかりか、作業そのものをやった形跡すらない。
 国税局査察部がカムフラージュを使うことはつとに有名。11月下旬の“ガサ入れ”で漏れがあったとも伝えられていただけに、興味深い動きであった。
 特捜部では何度となく白川を捜査対象としながら、その度の立件に至らなかっただけに今度こそとの意気込みが聞こえてくる。その一方で、捜査能力が格段に低下している状況を考えれば、ただの嫌がらせとも取れなくもない。
 来年1月半ばには検察も大幅な人事異動が行われる。
 特捜部長時代に、時代の寵児だったライブドア堀江貴文、“村上ファンド”代表の村上世彰らを次々と葬り去った大鶴基成が、東京地検次席検事の椅子を目前にして左遷される。一方で、最年少特捜検事として名を馳せた山上秀明が直告一班の副部長として指揮を執ることになる。また長年特捜部の後ろ盾となっていた最高検次長検事、笠間治雄が広島高検検事長に出るなどかなり大掛かりなものとなる。
 果たしてそうした人事異動によって、特捜部がどうなるか。異動の前に新たな動きが見られるのか。しばらくは白川の憂鬱な日々は続きそうだ。》