西松建設を巡る疑惑 まとめ Vol.3

▼裏金の手法、前社長に報告 西松建設元副社長が供述
http://www.asahi.com/national/update/0121/TKY200901210327.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が国内外で多額の裏金を作っていたとされる事件で、元副社長の藤巻恵次容疑者(68)が、前社長の国沢幹雄容疑者(70)に「海外での裏金作りの方法についても報告していた」と東京地検特捜部の調べに供述していることが関係者の話でわかった。
 両容疑者とも、海外から7千万円の裏金を税関手続きを経ずに日本に持ち込んだ外国為替及び外国貿易法外為法)違反容疑で逮捕されたが、元副社長の供述により、国沢前社長が裏金の不正な持ち込みだけでなく、海外での裏金作りの手法についても熟知していた疑いが強まった。
 特捜部は、両容疑者が連携し、過去5年間で約10億円に上る海外での裏金作りを進めていたとみて調べを進めている。
 西松建設は、東南アジアで請け負った工事費を実際より高く見せかけて経理処理するなどの手法で裏金を捻出(ねんしゅつ)。香港などの銀行に開いたペーパー会社名義の口座や貸金庫に集めておき、海外で工事を受注するための工作費などに使っていたとされる。
 関係者によると、海外担当だった藤巻元副社長は、こうした手法で裏金作りを進めていることを国沢前社長に報告。前社長はこの報告を黙認する形で了承していたという。元副社長は特捜部の調べにこの経緯について認め、「前社長も裏金作りを認識していた」という趣旨の供述をしたという。
 海外で作った裏金のうち約2億円については、西松建設側が、03年にタイ・バンコク都庁が発注した洪水防止の排水トンネルの建設工事を受注した際、バンコク都庁首脳(当時)向けのわいろとして支出していた疑いが浮上。特捜部がタイ当局に不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で捜査協力を要請した。
 関係者によると、西松建設が海外で裏金作りを始めたのは、同社も関与したゼネコン汚職事件が摘発された93年以降で、わいろとして使った裏金への批判が高まったため、裏金が発覚しないようにする狙いがあったという。
 裏金は、国内にある支店などで過去5年間に計10億円以上捻出されていたことが明らかになっている。》

▼西松・前社長指示で不透明融資2億円超…原発関連受注狙う
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090122-OYT1T00006.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」側が2003年以降、福島県内の原子力発電所から残土搬出事業の受注を狙って、残土の埋め立て予定地を所有する同県の建設会社に対し、ダミー会社を経由して2億数千万円を融資していたことが分かった。
 しかし、事業は発注されず、融資も返済されないままになっている。この融資は外国為替及び外国貿易法違反容疑で逮捕された西松建設の国沢幹雄前社長(70)が指示しており、東京地検特捜部はダミー会社や建設会社を捜索し、不透明な資金の流れを調べている。
 同社関係者によると、西松建設が受注を狙ったのは、原発施設の港内からしゅんせつされた土砂を、施設外に運び出して処理する事業。2000年から04年にかけ、東京都内の別の準大手ゼネコンが電力会社から六十数億円で受注したことがあり、西松建設は、その後の事業を受注しようとした。
 残土の搬出先として同社が見込んだのが、福島県内の建設会社が所有する採石場跡地。そして、03年ごろ、この建設会社の経営を支援する目的で、2億数千万円を融資する計画が持ち上がった。報告を受けた国沢容疑者は了承し、融資の実行を指示したという。
 ただ、融資にあたっては、「発注前に西松建設の名前が表に出ると、電力会社が嫌がるのではないか」との考えから、資金は西松建設の子会社「松栄不動産」が用意。さらに03年末に都内に設立した会社をダミーとして間に挟むことになった。2億数千万円の融資は数回に分けて実行されたが、融資に見合う担保はとっていなかった。
 ダミーに使われた会社は都内のビルの一室にあるが、郵便受けと部屋のドアにプレートがあるだけで、部屋は西松建設の土木部門が使っている。ダミー会社の社長、前社長とも西松建設の取引先だといい、「西松幹部に頼まれて名前を貸しただけ」と証言している。
 結局、西松建設が受注を期待した残土搬出事業は発注されなかった。電力会社は「04年までに残土の処分を終えた上、港湾を改修して海底に土砂がたまりにくくなり、搬出する必要がなくなった」と説明する。この結果、西松側から建設会社への融資の焦げ付きだけが残る形になった。
 この融資について、福島の建設会社の社長は読売新聞の取材に、「(特捜部の)捜索を受けたのは事実だが、資金についてはノーコメント。問題のある資金ではない」と話している。》

▼西松裏金:「政治献金の原資」 逮捕の元幹部供述
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090122k0000m040127000c.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の外為法違反事件で逮捕された元幹部らが、東京地検特捜部の調べに対し「国内に持ち込んだ裏金の一部は政治献金の原資になったと思う」という趣旨の供述をしていることが、関係者の話で分かった。西松建設を巡っては、政治団体を隠れみのにして政治資金規正法が禁じる企業献金をしていた疑いも浮上しており、特捜部は不透明な金の流れの解明を進めている。
 事件では前社長の国沢幹雄容疑者(70)=20日付で辞任=ら5人が逮捕され、東南アジアで捻出(ねんしゅつ)した裏金7000万円を無届けで国内に持ち込んだ容疑が持たれている。裏金は元副社長の藤巻恵次容疑者(68)が元海外事業部副事業部長の高原和彦容疑者(63)に指示して香港などから運ばせ、国沢容疑者も了承していたとされる。
 同社OBが設立した「新政治問題研究会」など二つの政治団体は06年末に解散するまでの約10年間に総額約4億7800万円の政治献金をしていたことが判明し、献金の原資は西松建設が負担し、事実上の企業献金だった疑いが指摘される。
 関係者によると、元幹部らは特捜部の調べに対し、国内に持ち込まれた裏金が政治献金に充てられていたという認識を示しているという。特捜部は他の同社幹部や政治団体関係者からも事情聴取を進めており、裏金の一部が政治団体を通じて政治家に献金された疑いがあるとみて、裏付けを進めている模様だ。》

西松建設前社長、タイでの贈賄指示の疑い
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090122/crm0901220137001-n1.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京)の外為法違反事件で、前社長の国沢幹雄容疑者(70)が、タイで受注した工事での贈賄工作について、指示していた疑いの強いことが21日、分かった。受注工作は、裏金の担当部門を統括する立場から社長にまで上り詰めた国沢容疑者によるトップダウンだったとみられる。東京地検特捜部は昨年、すでに検事を現地に派遣しており、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の容疑で慎重に捜査を進めているもようだ。
 問題の公共工事は、タイの首都バンコクにある全長約5・3キロに及ぶトンネルの建設工事。バンコク都庁が発注し、平成15年7月に入札が行われており、西松と現地の大手建設会社の共同企業体(JV)が約70億円で受注した。
 関係者によると、裏金を香港の口座で管理していた元海外事業部副事業部長の高原和彦容疑者(63)は特捜部の調べに、「裏金は外国公務員などへのリベート資金。タイの工事では、総額4億数千万円がわいろとして提供された」と供述。リベートは、バンコク都庁首脳らに、受注額の5%にあたる約3億5000万円、有力者らに1億円以上が渡された。JVを組んだ建設会社と折半し、西松側は2億数千万円を負担したとみられている。
 国沢容疑者は工事の入札を翌月に控えた15年6月まで、本社の経理などを統括する「管理本部」の本部長を務めていた。裏金の使用や国内持ち込みは、本部長が直接指示していたという。後任の本部長は、「側近中の側近」とされる元副社長の藤巻恵次容疑者(68)だった。
 タイでの贈賄工作について、国沢容疑者は本部長として事前に指示、社長就任後も藤巻容疑者を通じて指示を続けていたとされる。
 タイの下院汚職防止委員会は今月15日、「不正を疑う十分な根拠がある」とする調査報告書を国家汚職追放委員会に提出し、同委員会による捜査を要請。昨年、すでに検事をタイに派遣していた特捜部は、現地当局と連携して慎重に捜査を進めているもようだ。》

▼裏金づくり、前社長側近で固める 西松建設、情報漏れ防ぐ目的か
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009012101000735.html
《準大手ゼネコン西松建設の裏金をめぐる外為法違反事件で、逮捕された前社長国沢幹雄容疑者(70)が元副社長藤巻恵次容疑者(68)ら一部の“側近”を選んで裏金づくりに関与させていた疑いの強いことが21日、関係者の話で分かった。
 複数の元同社幹部らは、事情聴取で「裏金のことは全く知らなかった」と供述しているとみられ、東京地検特捜部は、組織的な裏金づくりの実態が社内に知れ渡らないようにする意図があったとみて、詳細な役割分担を調べている。
 特捜部は2006−07年に無届けで香港などから裏金計7000万円を持ち込んだとして、外為法違反容疑で国沢、藤巻両容疑者のほか、子会社の「松栄不動産」元社長宇都宮敬容疑者(67)、元海外事業部副事業部長高原和彦容疑者(63)らを逮捕した。
 関係者によると、国沢容疑者は03年に管理本部長から社長に就任した際、後任に藤巻容疑者を充て、裏金づくりの舞台となった海外事業部の担当役員も兼任させた。
 宇都宮容疑者は1993年に国沢容疑者から経営企画部長を引き継いだ後、01年に松栄不動産の社長になるまで、国沢容疑者の直属の部下として仕えていた。》

西松建設前社長逮捕 10億円裏金 真相解明へ 業界の病根絶つ捜査必要
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/display/6311/
西松建設をめぐる外為法違反事件は、元副社長ら4人の逮捕からわずか一週間足らずで経営トップが逮捕される事態となった。不祥事が絶えないゼネコン業界でも10億円もの裏金づくりが明らかになるのは異例で、業界の病根を断つ徹底捜査が望まれる。
 東京地検特捜部は、海外から無届けで裏金を持ち込んだとする元海外事業部幹部高原和彦容疑者の内部告発を端緒に昨年6月、西松建設本社などを家宅捜索。告発者自身を業務上横領容疑で逮捕し、早い段階で「上層部の指示」などについて詳細な供述を得ていた。
 形式犯の印象がぬぐえない外為法違反容疑での逮捕には当初、検察幹部の中に消極的な意見もあったが、捜査の過程で(1)タイでの公共工事受注工作(2)OBの政治団体を使った違法な政治献金(3)原発関連事業をめぐる不透明な融資−などの疑惑が次々と表面化。
 特捜部は、疑惑の全容解明には経理畑出身で資金の流れを把握し続けてきた国沢幹雄前社長の逮捕が不可欠と判断した。
 1993−94年のゼネコン汚職で、裏金頼みの業界体質が改善を迫られたが、その後も汚職や談合などの事件は各地で頻発。今回も自浄能力のなさを露呈した形だ。
 検察内部にも「同じような政治献金西松建設だけがやっていたわけでなく、タイでの受注工作も現地政府の協力が得られるのか疑問」と立件を困難視する声が出る中、どんな供述を得て、不透明な資金工作の真相にどこまで迫れるのかが注目される。》

政治団体を通じた献金疑惑、西松建設前社長が主導か
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090121AT1G2100J21012009.html
《準大手ゼネコンの西松建設が、OBが代表を務める政治団体を隠れみのにして複数の政治家へ献金していたとされる疑惑で、外為法違反容疑で逮捕された前社長、国沢幹雄容疑者(70)が政治団体の設立を指示するなど献金の仕組みづくりを主導していた疑いがあることが21日、同社関係者の話で分かった。東京地検特捜部も政治団体を通じた同社側の献金の実態について同社幹部らから事情を聴いている。
 西松建設企業献金の隠れみのになっていた疑いがある政治団体は「新政治問題研究会」(1995年設立)と「未来産業研究会」(99年設立)。いずれも2006年に解散した。》

西松建設:前社長、裏金の全容把握か 運び役から逐一報告
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090121k0000e040089000c.html
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の外為法違反事件で、東京地検特捜部に逮捕された前社長、国沢幹雄容疑者(70)=20日付で辞任=が、国内に裏金が持ち込まれるたびに運搬役の元海外事業部副事業部長、高原和彦容疑者(63)と面会し報告を受けていた疑いが強いことが同社関係者の話で分かった。東京地検特捜部は、国沢容疑者が裏金作りから持ち込みまでの全容を掌握していた可能性が高いとみて追及する。
 逮捕容疑では、国沢容疑者らは06年2月〜07年8月、5回にわたって高原容疑者に裏金計7000万円を香港などから持ち込ませたとしている。
 同社関係者によると、高原容疑者に裏金持ち込みを直接指示したのは、直属の上司で副社長の藤巻恵次容疑者(68)だったが、帰国した高原容疑者は藤巻容疑者とは別に、国沢容疑者とも会ってやり取りしていたという。
 同社が海外事業を使って捻出(ねんしゅつ)した裏金は過去10年で約10億円に上るとされる。特捜部は、国沢容疑者が藤巻容疑者や高原容疑者から、繰り返し報告を受けていたとみており、約10億円の使途について解明を進めるとみられる。》

▼国沢前社長の関与、10年以上前から…主導的役割担う?
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090121-OYT1T00573.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の裏金持ち込み事件で、外国為替及び外国貿易法外為法)違反容疑で逮捕された同社の国沢幹雄前社長(70)が、海外での裏金づくりが始まった10年以上前から不正に関与していたことが同社関係者の話で分かった。
 東京地検特捜部は、部下らに裏金の持ち込みを指示するなど、国沢容疑者が犯行を主導していたとみており、裏金の使途を含めて国沢容疑者を追及する。
 同社関係者らによると、同社は1993〜94年のゼネコン汚職で当時の副社長が起訴されるなどしたため、不正の発覚を免れようと、90年代中盤以降、裏金づくりの拠点を国内から海外に移した。海外での裏金づくりは当時の首脳や海外事業担当の役員が主導していたが、当時、社長室長などとして経営の中枢を担っていた国沢容疑者もこれに加担するようになったという。 国沢容疑者は経理や総務を統括する「事務本部(現管理本部)長」を経て、2003年に社長に就任。裏金の国内持ち込みは、同本部の指示で行われていた。
 国内に持ち込まれた裏金の一部は、元副社長・藤巻恵次容疑者(68)や同社子会社「松栄不動産」元社長・宇都宮敬容疑者(67)が、貸金庫で管理していたことが判明している。特捜部は、国沢容疑者が側近だった藤巻、宇都宮両容疑者を中心に裏金を管理させていた可能性があるとみて追及する。
          ◇
 西松建設は20日付で法律顧問として元大阪高検検事長の逢坂貞夫弁護士(72)を選任した。経営への助言を受け、株主総会を経て社外取締役に迎える予定。》

▼捜査直前、隠滅指示か 西松建設前社長
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090121/crm0901211300009-n1.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京)の前社長、国沢幹雄容疑者(70)が逮捕された外為法違反事件で、東京地検特捜部が昨年11月、本社の家宅捜索に入る直前、西松社員らが事件に関連する書類などを破棄する隠蔽(いんぺい)工作を行っていたことが21日、関係者の話で分かった。隠蔽工作は国沢容疑者の指示で行われた疑いがあり、特捜部は国沢容疑者が裏金工作を認識していたことを裏付ける事実とみているもようだ。
 西松は十数年前から、東南アジアの工事費を水増しするなどの手口で約10億円に上る裏金を捻出(ねんしゅつ)。元海外事業部副事業部長の高原和彦容疑者(63)が、香港の口座などで管理し、必要に応じて国沢容疑者の側近で、元副社長の藤巻恵次容疑者(68)が引き出しを指示していたとされる。
 このうち計7000万円を無届けで国内に持ち込んだとして、今月14日には藤巻容疑者ら4人が逮捕され、20日には国沢容疑者が逮捕された。
 西松は昨年6月、この外為法違反容疑で、東京都港区の本社が、特捜部の家宅捜索を受けた。さらに高原容疑者が、裏金の一部を横領したとして逮捕された同11月にも、本社が同容疑で捜索された。
関係者によると、本社勤務の西松の社員らは、2度目の捜索を受ける直前、事件に関係するとみられる書類などをシュレッダーにかけるなどして破棄。国沢容疑者から「資料を整理するように」という趣旨の指示を受けていた疑いがあるという。
 国沢容疑者は、平成7年から15年まで、本社中枢の経理や経営企画を統括する管理本部の前身の事務本部長を担当。同本部は裏金の持ち込みや使途について、差配していたとされることなどから、国沢容疑者は、社長就任後も藤巻容疑者に指示を出すなど、裏金工作を主導していた疑いが強い。高原容疑者は特捜部の調べに「裏金の持ち込みについて、国沢社長にも報告していた」と供述している。
 このため、特捜部は、裏金工作の実態を熟知する国沢容疑者が、捜索による不正発覚を防ぐため、証拠隠滅を図った可能性もあるとみているもようだ。》

▼「ギリギリ…」逮捕直前のトップ交代劇 西松建設
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090120/crm0901202354031-n1.htm
《準大手ゼネコン「西松建設」(東京)の外為法違反事件で20日、東京地検特捜部に逮捕された同社前社長の国沢幹雄容疑者(70)。同社の社長交代劇は、20日午後6時から急遽(きゅうきょ)開かれた臨時取締役会で決まったもので、「ギリギリ」(同社関係者)のタイミングで「現職社長」の逮捕を逃れた。
 社員は国沢容疑者の逮捕の知らせを、同日夜のテレビニュースなどで知ったといい、夜遅くまで情報収集に追われた。
 臨時取締役会では、国沢容疑者から、「経営責任を明確にするため」という理由で、辞任の申し出があったという。取締役会ではこれを了承。これまで表向き「国沢氏の辞任を求める声は社内ではなかった」(同社関係者)というものの、国沢容疑者自身、特捜部から事情聴取を受けており、辞任は不可避との判断に傾いたとみられる。》